第79話:狂戦士、バーサーカー、ベルセルク
古代火竜の暴れぶりには圧倒されてしまう。
俺が想定していた最悪の強さではないとは言っても、その力はとても人間に対抗できるような強さではない。
それは勇者も同じで、基礎レベルが100を超えていれば体力や魔力が10000を超えることになるのだが、不良勇者の基礎レベルが100を超えているとはとても思えない。
「おっと、今こいつを殺されては困るのだよ、古代火竜ダルべルド殿」
俺は魔術士たちを皆殺しにしようと暴れ回る古代火竜の邪魔をした。
他の魔術士たちは皆殺しにしてくれても構わないのだが、召喚魔術を再現したエルズミア伯爵トマスだけはまだ殺されては困るのだ。
こいつは支配下に置いて全ての知識を吐き出してもらう予定なんだ。
「バリア、バリア、バリア、バリア、バリア」
「パーフェクトパペット」
俺は古代火竜の攻撃をバリアで防ぎつつ誘導した。
同時にエルズミア伯爵トマスを支配下に置いて助け出した。
これで安心して生き残りの魔術士たちを皆殺しにできる。
なにより剣の勇者館野伊織を殺させることができる。
俺が直接自分の手で殺すのではなく、古代火竜が殺すように誘導した。
一撃目、二撃目、三撃目と剣の勇者は古代火竜の攻撃に耐えた。
だがそれが狂乱状態にある古代火竜を興奮させることになった。
剣の勇者が即座に逃げようとしていたら、結局俺が剣の勇者を殺すことなった。
狂乱状態の古代火竜は、逃げる敵よりも目の前の敵を攻撃していただろう。
だが、何度攻撃しても潰す事ができない、魔術で防ぐ相手には異様に執着した。
両前脚を使って逃げすことなく執拗に攻撃を繰り返した。
「バリア、バリア、バリア、ファイアストーム、サンドストーム」
剣の勇者がバリアと片手で古代火竜の攻撃を防ぎつつ、魔術で反撃をしたが、それが古代火竜の狂乱をさらに刺激してしまった。
「ギャオオオオオオオ」
「バリア、バリア、バリア、バリア」
古代火竜が雄叫びと共にブレスを吐いた。
圧倒的な熱量を持った魔力による火のブレスを、首をふりながら周囲にまき散らしたのだが、俺は何とかとっさにバリアの呪文を唱えることができた。
とは言っても、後々利用するつもりの騎士団を護るためだけだ。
4人の勇者を護る気は全くない。
もちろん国王、王太子、王太孫や取り巻きを護る気もない。
古代火竜のブレスは魔術ではないのかもしれない。
ただの人間に過ぎない国王、王太子、王太孫や取り巻きは瞬時に焼け滅んだ。
剣の勇者は直ぐには焼け滅ばなかった。
召喚された勇者の特典なのか、魔力の続く限りバリアに護られた。
だが奴隷にされて自分で考える事のできない3人の勇者は一瞬で焼け滅んだ。
バリアを展開する事ができなかったからだ。
まあ、元がバカな3人が自分で考えてバリアを展開できたとは思えない。
もちろん俺もとっさにバリアを展開できたとは思えない。
これからはバリアを常時展開しておこう。
そんな事を考えている間に、剣の勇者の魔力がつきてしまったようだ。
剣の勇者が焼け滅んでくれた。
まあそれも当然だと思う。
騎士たちを護ってバリアを展開している俺の魔力も激減している。
無限の魔力がなければ不安と恐怖を感じている所だ。
「パーフェクトパペット」
俺はエルズミア伯爵トマスに2度目の支配魔術をかけた。
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