第8話:スタンフォード王国
俺はスタンフォード王国監視部隊の奴隷にされた。
朝早くから夜遅くまでこき使われた。
だけど、とても幸せだった。
俺に命令するのはほぼ全員が女性だからだ。
国に着くまでの監視対象がエリザベスという名の王女だから、監視部隊も女性だけで編制されたようだ。
「気をつけろ、そろそろサンドワームやサンドスパイダーがでるぞ。
油断したら一瞬で一飲みにされるぞ」
美しい女騎士のアンが配下の騎士や従士に命令を下している。
全員が立派な軍馬に騎乗している。
従士だからと言って歩いているわけではない。
正式名称は従騎士、早い話が騎士見習という意味のようだ。
立派な馬車や荷車もあるのだが、俺たち奴隷は歩かされている。
理由は簡単で、馬車や荷車には貴重な荷物や水が大量に積まれているからだ。
乾いた大地を歩かされ、身に染みて分かっている。
スタンフォード王国というのは水に恵まれない国なのだ。
まだ到着していないから断言できないが、オアシス都市のなのかもしれない。
「サンドワームが出たら困りますが、小型のサンドスパイダーやサンドスネークには出てきて欲しいですわ。
狩ることができたら食糧補給ができますから」
大きな日傘に覆われたラクダに乗るエリザベス王女がおっとりと答える。
奴隷仲間の話しでは、強がりや嫌味を言っているわけではないようだ。
砂漠の中に孤立するスタンフォード王国は、国民を養う水と食料を確保するのが大変だという話だった。
奴隷の食事は、麦の粉のような物を水でこねて焼いただけの小さな堅パンだ。
それもほんの小さな物を1日に2個与えられるだけ。
そんな奴隷食しか食べていないので、目が回りそうなくらい空腹なのだが、それでもクモやヘビは食べたくない。
もっとも、王女様が大切な食糧を憎い宗主国の奴隷に与えるとは思えないけどね。
「出たぞ、中型のサンドスパイダーだ」
どうやら恐れていた事が起きてしまったようだな。
よほど強い敵なのか、アンという名の騎士隊長が緊張しているのがよく分かる。
「大切な食料確保の機会です。
宗主国の方々には手出ししないでいただきましょう」
エリザベス王女が堂々と言ってのけた。
サザーランド王国の騎士達のステータス平均は分かっている。
だからアンの強さが平均をはるかに超えている事を知っている。
各騎士団長には及ばないが、他の騎士長を圧倒する強さなのだ。
そんなアンを足手まとい呼ばわりするエリザベス王女のステータスが気になる。
女性のステータスを黙ってみるのは失礼だと思っていたから、勝手にみないようにしていたのだが、ここは確認しておく方がいいだろう。
『エリザベス・スタンフォード』
人体:基礎/レベル51
職業:魔術師/レベル8
:HP/51/51
:MP/51/51
「戦闘スキル」
火魔術:レベル8
風魔術:レベル5
水魔術:レベル8
土魔術:レベル8
木魔術:レベル8
槍術:レベル7
剣術:レベル5
短剣:レベル7
弓術:レベル3
馬術:レベル8
「生産スキル」
野営 :レベル7
料理 :レベル2
土魔術:レベル8
木魔術:レベル8
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