悪い勇者召喚に巻き込まれて殺されかけましたが、女将軍と属国王女に助けられたので、復讐がてら手助けする事にしました

克全

第1章

第1話:悪い勇者召喚

 ある日突然『勇者召喚の儀式』で異世界に強制連行された。


 まあ、でも、最高のタイミングだったと思う。

 人生最大の危機、殺されるかもしれないと本気で思っていたから。

 性根の腐った不良に、おやじ狩りされたいた。

 相手が1人になら、マスゴミに叩かれる覚悟をしたら勝てると思う。

 目を潰し骨を折るくらいはできる。

 でも4人に袋叩きにされたら、少々武道の心得があってもどうにもならない。


「やったあ、成功だ」

「成功だ、勇者召喚に成功したぞ」

「これで俺たちの勝利だ」

「大陸制覇も夢じゃない」

「バカ、こら、余計な事を言うんじゃない」


 冷たい石の床に倒れながらサーコートの言葉を聞いていた。

 趣味でアニメやラノベはたくさん読んでいた。

 勇者召喚物もたくさん読んできた。

 だから分かる、これは悪い勇者召喚だ。

 それに職業柄、顔や態度を観察するだけで相手の性格と本心が大体分かる。


「うっわああああ」

「なんだ、なんだ、なんだ」

「ごっらあぁ、やんのか、やんのか、殺すぞ、かかってこいや!」

「バカ、やめろ、相手は剣を持ってるぞ」


 性根の腐った不良どもがパニックになっている。

 単にパニックになる奴2人と、何も考えずに相手かまわずケンカを売る奴。

 だが1人は多少冷静に状況を判断できるようだ。

 ふむ、これが夢や現実逃避でなければ、急いでこの国から逃げないといけない。

 悪い勇者召喚なら、逆らえないように奴隷契約されたり洗脳されたりする。


「ステータスオープン」


 ほんの小さな声で言ってみた。

 自分に対してステーキオープンをやってみた。


『氏名:龍遊院英雄』

人体:基礎/レベル100

職業:英雄/レベル無限

  :HP/1000000/1000000

  :MP/1000000/1000000

注 :英雄職のHPとMPはレベルの3乗

「戦闘スキル」

英雄魔術:レベル無限

剣道  :レベル1

柔道  :レベル1

「生産スキル」

園芸魔術:レベル100

育成魔術:レベル100

調教魔術:レベル100

整骨  :レベル10

鍼灸  :レベル10


 期待と不安を感じながらやったことが、あまりにも簡単に成功した。

 自分の名前とスキルとレベルが、目の前に表示されている。

 これが特別なものなのか、それともありふれたものなのかが分からない。

 アニメやラノベには色々な設定があった。

 自分が無敵設定ならいいのだが、これから強くなる設定なら困る。


 さて、比較対象の相手を誰にするかが問題だ。

 普通に考えれば、恨みのある不良どもを確かめるべきだろう。

 こいつらと比較して俺の方が強いのなら、いきなり処分される事はない。

 悪い召喚の場合、巻き込まれただけの弱い存在は口封じに殺されそうになる。

 大抵の主人公は上手く逃げるが、俺も逃げられるとは限らない。


「静まれ、勇者様を前に情けない姿を見せるな、バカ者が」

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