屋上のひととき

バブみ道日丿宮組

お題:自分の中の解散 制限時間:15分

屋上のひととき

 試行錯誤をしているとふいに諦めが湧いてくることがある。

 テスト前の勉強がまさにそれ。

 だってしょうがないじゃない。自分ができないことはできない。やる前からそれがわかってるのにやろうとは思わないでしょう。

「……」

 試験結果を見て屋上でたそがれてる自分はすごくかっこいいんだろうなとうぬぼれながら、ゼロが多い答案用紙をやぶく。

 復習する気もないし捨ててしまおう。

 こういうことすると親友が怒るだろうけど、今日は休みだ。

 体調不良っていうし、あとで行こうとは思う。

「……はぁ」

 教師から受け取った親友の答案用紙はどれも満点に近い。イラつくということはないけど、自分との違いがはっきりと出ていてすごくつらい。

 私だって勉強すればきっといい点数くらいはとれるのだろうけど、やる気というのが起きない。それは勉強に限らず生きることにやる気も起こらないのだけど……。

 一度親に相談したこともあったけど、若いからって諭されたっけなぁ。ほんと他人事だよね。家族が困ってるっていうのに真剣味がどこか足りないと思うの。

 まぁ……私がいけないのだけど……。

「……」

 産まれてくる世界が違ければもうちょっとマシだったかな。普段読んでるラノベ世界のキャラは命の危険に脅かされてる。現実世界がそーうではないとは思うけど別次元。

 多種族の人間タイプがこの世界にいれば変わったか?

 かといって襲われるのは嫌だなぁ。

「はぁ……」

 結局やる気はでなそうだ。

 偉人たちはどうやって世界を生きたのだろう。もちろん生活事情とかわからないからなんともいえないのだろうけど苦悩とかあったのだろうか?

 空が飛べないから空飛べるように何度も挑戦したりという苦悩はあるか。

 根本的に私の悩みとは違うから役に立たなそう。

 まず役に立つ知識ってのがわからないから無意味か。

「帰るか」

 放課後の屋上は人がいないからいい気分だけど、さすがに何時間もいるのはよくない。聖地は聖地だからこそ聖地。屋上も同じことでたまにこれるからいいもので常時いるのは違う。

 きびすを返し、私は親友の家を目指した。

 弱い自分をいつか開放できると信じて。

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屋上のひととき バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri

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