バブみ道日丿宮組

お題:穢された出会い 制限時間:15分

 出会いがあれば別れも当然ある。

 そんな人生に振り回されたくないからひたすら孤独を好んだ。

 幼い頃事件にもなったが私のせいではない。誘拐犯に面識があって、私にだけ危害を加えなかったとしても私が共犯者というわけでもない。

 世間からそういういわれをたくさん受けたがそのおかげで孤独にもなれたから誘拐犯には感謝してる。そのとき一緒だった子どもには多少悪いという感情が生まれなくもないが所詮は他人でしかない。

 人とのつながりは今では第三者的交流しかない。家族が学生を終えるまでいたこともあったが言葉を発せなければつながることはない。今ではだいぶ静かになったし、過ごしやすくなった。

 そんな私であっても好んだ出会いもあった。

 彼という存在がなければ今の私はたぶんなかった。それぐらい彼を愛してしまったし、時を忘れてしまってたともいう。

 とはいっても過去は過去でもうそんな記憶も薄れてきた。

 彼にとって私はただの穢れでしかないだろう。彼の家族にもそう思われてる。なんとか場を持ちたいと考えてるかもしれないが私は暇じゃない。

 いなくなったものは帰ってこない。そういう存在に彼はなったのだ。そこに私が関係するはずもなく、いわれのない文句はただの雑音でしかない。

「……」

 その音を一つ一つ消すことで平穏が生まれる。

 家族でない音を消すのは初めての経験だったが苦戦という色は見えなかった。ただ機械的に動くことに初めてという概念は当てはまらないと認識した。

 時間も余ったのでテレビをつけてみると、懐かしい顔ぶれが報道されてた。

 1クラス分の行方不明者は5年も経った今でも痕跡1つ見つからない、と。

 その1人である私にたどり着けないのだから警察というのも当てにならない。この間きた探偵という存在のがまだ役に立つだろう。

 つまりは税金の無駄遣いだ。

 そんな存在の音を切り取るのもまた至高に近いのだろうけど、今はいい。

 これから彼だったものに会いにいかなければならない。


 生存本能がなくなるまで私にはその義務があるのだからーー。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る