トカゲとライオン

バブみ道日丿宮組

お題:トカゲのライオン 制限時間:15分

トカゲとライオン

「背中を押すところをみたぞ」

 とトカゲ。

「いいや噛みつかれてた」

 とライオン。

 かれこれ二人は30分もの間言い争ってる。

「どっちでも死は変わらないからどっちもでいのでは?」

 猫は憐れむようつぶやいた。

「検視があるから適当にできない。それを争うというのは違うが」

 羊が苦笑する。

 猫と羊がため息をつくのをトカゲたちは気づかない。

「なんなら俺の牙でお前を試してもいい」

「こっちだって山頂から蹴り落としてくれる。火山灰はおまけだ!!」

 ぐぬぬという唸る声が地表を響かせる。

「はやく行ってくれないかな。こっちは睡眠中なんだぞ」

 地表に穴があくと中からもぐらがでてきた。

「あと3時間ぐらいはかかるかな」

「ふざけてる! 大体なんで喧嘩してるんだ」

 もぐらは憤怒した。

「昨日なくなったカバが何が原因でなくなったかを調べ特定したいって欲求かな?」

「欲求不満なら夜のサービスでもいってくれ。地中まで響くのは勘弁だ」

 ため息が1つ増えた。

「引っ越しするのがはやいか。呼んでくる」

 無表情へと変えたもぐらは穴に戻ってく。数分も待たずして4人家族のもぐらが現れた。

「次は喧嘩が起きないところだといいものだ」

 じゃぁな手を振るともぐらは去った。

 残ったのはトカゲとライオン。そして羊と猫である。

「そろそろ犬のおまわりさんがやってくる時間だな」

「アノ人もアノ人で時間が適当だからね。解決した頃にやってくるのかもしれない」

 それは無意味だなぁとため息が濃くなる。

「大体目撃者がいない事件で第三者が揉めるってのはおかしな話だよね」

「それもそうだな。身内でもないし」

 そういって二人は飛び降りたとされる死体を見つめる。

「知らない顔なんだよね」

「そう僕たちが知らない動物が死んでる。それだけでも事件さ」

 遠くの方からサイレンが聞こえてくる。

「あぁそろそろきそうだね。僕らは行こうか。邪魔になるだろうし」

 頷きあった猫と羊はその場を去った。

 彼らが去った後にもそこは喧騒なのは変わらなかった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

トカゲとライオン バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る