甥っ子の道

バブみ道日丿宮組

お題:少女の想い 制限時間:15分

甥っ子の道

「今日はこの子について話し合うのが議題です」

「先生、まずその女の子誰なんですか?」

「良い質問だ。甥っ子であり、天才少女でもある」

「それってただ先生が思ってるだけで違うんじゃないですか?」

「それは君が知らないだけであって……」

「先生! そりゃ知りませんよ! 公園で遊んでる幼稚園児ですらわからないのに、他人の家の子どもを知る場もないです!」

「それもそうだな。では、甥っ子についての資料を配る。学級委員頼むぞ」

「資料作るとかやばいだろ! ってか委員長は疑う余地ないのか!?」

「彼女はうちの家系の子だからね。甥っ子の凄さを知ってる」

「まじかー」

「プリント全員まわったか? とりあえず一回全部見てくれ」

「どれどれ……えっと小学一年で東大の入試試験を満点……? ちょっと待ってくれよ。小学生で古典とか数学わかるのか? えっ? 英語だけじゃなく……フランス語?」

「みんな凄さがわかったかい? いい反応をありがとう。それでな。この子の進路をどうしたらいいかとご両親に相談されてな。困ってるんだ。方向性というか未来視というかなんだろうな?」

「先生それを高校生に聞くのもどうかと思うぜ。だって俺らですら大学のことで頭が痛いのに」

「まぁそうなるな。推薦のために部活動頑張ったり、課外授業で目立ったりと学校生活はキツキツだ」

「別に頑張ってはいない……いるやつもいるか」

「なんにしても甥っ子は世界を構成する1人になるのはもう決定事項だ。空を飛ぶ車や、人型ロボットなんかも作ったりするかもしれない」

「ちなみにその女の子の趣味ってなんなんですか? 小学生だし絵本、お人形遊びです?」

「家だとコンピュータのAIと話してるみたいだな」


「「 A I 」」


「先生!! 何を言ってるのか全然分からないです! AIが開発されたノーベル賞というか世界絶賛の人材じゃないですか!! 寝ぼけるのは朝のホームルームだけにしてください!!」

「事実だからしかたないだろう。まぁ俺が理解できない言語を話してるのを聞いたりしてるくらいで本当のところはただのパソコンかもしれない」


「「 どんだけ甥っ子持ち上げたいんだ!? 」」


「そりゃ自分の子どものように可愛いと思ってるよ。おじさん先生なんでしょって勉強を強請ってくるのは愛らしくていい思いだ」

「通報されるようなことはしないでくださいよ? 僕らじゃ責任はとれないので」

「話がやや脱線したから元に戻すが、俺は甥っ子の役に立ちたいんだ」

「わからなくもないですけど……すぐには僕らにはわからないです。考えたこともないですからね、できる人間がやりたいことなんて」

「すまんな。明日までの宿題ってことでお願いできないかな」

「いいですよ。内申点高くしてくれるなら!」

「おおぅ頼むぞ。特に良かったやつは他の先生に根回ししとく」


「「 よっしゃあ! 」」

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