学校園

バブみ道日丿宮組

お題:アルパカの凡人 制限時間:15分

学校園

 学校全体で生き物を飼おうという話になって……。

「……動物園だよね」

 学校の至るところに動物たちが暮らしてる。それはもう人間の数のほうが少ないっていうくらいに。

「人間も動物だからね。見る人がいるなら動物園かもしれないよ」

 幼馴染は簡素な答えを返す。

「アルパカと、ラマと、ラクダと、牛と馬がグランドを支配してるってのはどうかと思うよ」

 肉食系動物も構内で飼ってるのは驚きが強い。

「教室はハムスターだけの飼育になってよかったと思うよ」

「鳥がいたときはうるさかったものね」

 他の動物がうるさいのはなれてしまった。防音室にいることもあって音は殆ど聞こえない。聞こえるとしたらグランドにいる馬たちの鳴き声だ。

「よくもまぁみんな転校しないで残ってるよね。この状況ってさ保護者に怒られてもいるんでしょ?」

「そうだね。よく会議で話が上がってるよ」

 幼馴染は生徒会長。

 この動物園状態を作り上げた核の1人。そして保護者と生徒の間に入る1人でもある。

「結局はさ……集めてしまったものを預ける場所がないって理由でどうにもできないんだよね」

 わからない話じゃない。

 各教室にいるハムスターといっても何百もいる。それをどうにかすることすらできないのに大型動物をどうにかできるとは到底思えない。

「しかたないから科を増やすらしいよ」

「可? 可能性でも増やすの?」

「いや学科だよ。動物看護師科とかいろいろ」

「そうなったらそれはそれでいいのかな?」

 さぁと幼馴染は首をかしげる。

 学科が増えたときには自分たちはいないだろうし、気にしてないのかもしれない。

「文化祭は成功したからこういう学校も1つくらいはいるのかもしれないよ」

 よくもまぁそんなことを思うものだ。まるで他人事。他人事じゃないのに……。

「入場料とか取ったら飼育費ぐらい稼げそうだよね」

「とるまでもなくなんか国から補助金が出てるんだよね。多くの命を守れる学生を作り出すとかなんとかで」

「なにそれ?」

 がさごそと幼馴染はカバンをあさると、一枚の用紙を取り出す。

「凄いでしょ。総務省の印」

 ここと指でさされた場所には確かに大層な印がおされてた。それが総務省のものかは私にはわからなかったけど、幼馴染がいうのであればほんとのことなのだろう。

「これもあってか保護者が反対運動してもあまり効果がないみたい」

 世間は複雑だなと放課後まで私は生徒会室で過ごした。

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学校園 バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri

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