進化

バブみ道日丿宮組

お題:真紅の怒りをまといし扉 制限時間:15分

進化

 最後にたどり着いたのは赤の扉だった。

 けれど、それを理解した時僕はもうこの世の人間ではなくなってた。

 かといってあの世の人間でもないのが嫌なものだ。

 まぁ……僕がやったとすることを考えるとこうなったのも致し方ないことなのかもしれない。


 話は数分前に戻る。



 白、青、緑、紫、黄、黒という扉を経て、赤の扉へとたどり着いた。

 色は大罪を示すもので、赤は憤怒である。

 なぜそうなのかといえば、もうすでに6つの大罪を体験した後だからだ。

「……」

 僕に罪があったなんて知らなかった。

 なぜこんな回りくどいことをして僕に罪を再確認してるのか。理解はできないけど、真実は知った。

 僕が今まで彼女にしてきたことは、確かに彼女からしてみれば深い業。許されることじゃない。

 ただ……そんなことを人間が知るには未来視する必要があり、普通の人間では到達できない。その到達できないことを彼女は望んでた。

「これで満足かい?」

 扉をあけた先にいる彼女に問う。

「全然足りない。あなたは私にならなきゃいけない」

「それで罪が償えるの?」

 彼女が口端をあげる。

「償えるくらいなら人間ってやつはとても単純で残酷な生物でしかないわね」

 右手首がない彼女は左手で僕を記す。

「もっともと私が私であったことを刻むのはとても簡単なこと」

 彼女の服は真っ赤であった。

 それが血であることは明白である。

 なぜなら、僕が彼女の肉を食らってここにきたのだから。

「最後に教えてくれ。僕はこれでよかったのか?」

「どうだろう。それはあなたが私になった時にどう思うかによると思うの」

 そうして彼女はポケットに忍び込ませてたナイフを心臓へと突き刺した。

「最後の一滴まであなたは私のもの。そして私もあなたのもの……それで私は許すことにした」

 小さくなる彼女の声。

「あなたは私を食べなきゃこの施設からは出られない」

 僕が失い、生まれた左手を思わず見る。

 それは文字通り彼女の左手。施設から強制的にでようとして僕が失い得たものだった。

「さぁ生まれ変わりなさい」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

進化 バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る