人らしく
また冬
第1話
人並みに生きていく。それが僕の夢だ。当たり障りのない言葉を話し、そこそこな人と付き合い、結婚して、そこそこな子供を持つ。そして、その子にもそこそこな人生を送って欲しいんだ。
あの日、僕は誓った。永遠なんてないことを知ったし、無常にも全て思い通りにいかないんだと思う。
ーーー
足が、痛い。というか、痺れるというかじわじわと痺れるような感覚がする。
ーピンポーンー
紫色のランプが光る。
「あー、バスで寝てて…」
「ねー、まだなの?」
膝の上に乗っかって、こちらを振り返る少女もはや幼女と言っても差し支えない時かもしれない。こいつが、足の痺れの元凶か…
腹が立ったので、頬をむにむにとした。
「お、意外と柔らかいもんだな」
「おじひゃん、しちゅもんに答えてよぉ。」
残念ながら、質問に答えないといけないらしい。はて、寝起きで頭が回っていないのだろうか。何故こんなバスに乗ってどこを目指していたのかすっかり忘れていた。
「…てかお前誰だ?」
「おじさん、質問を質問で返す人はモテないって知ってる?」
なるほど、質問の質問の質問はセーフなのか…
否、そんなことはどうでもいいのだ。この子誰なんだ?
「お前は、誰だ?」
「はは、一昔前の映画のセリフみたいじゃん」
「まあ、そうだが・・・・」
また、うまくはぐらかされてしまった。バスはどんどん進んでいく。
「で、どこで降りるつもりなの?」
いや、このバスに乗った理由が意味不明なのだが・・・・・
自分でも思い出せない
だんだんまた眠気が襲ってくる。あー眠い。,おやすみ。
遠のく意識の中少女の声だけが頭に響いていた。
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