崩壊と再生IV
ふと隣を見るとリリスは寝ていた。
それを介抱するようにユリアが毛布を被せ、席へ座った。
アルベルトはスクリーンを下ろすとマイクを取り出した。
「五年前、我々革新派は保守派によって襲撃を受けたことにより半数のメンバーを失った。しかし、そこである情報を掴んだ。それがこちらです」
バツマークが記された地図が映し出された。
「そしてついに我々は保守派の本拠地を捉えることができ、二日後襲撃を開始する。そのための計画を最終確認する。まず、革新派で各基地を襲撃し敵戦力を減らす。その次に睦月一行達で連盟日本支部へ突入し会長の確保と地下室に存在する連盟の闇に関する帳簿の回収を行ってもらう。制限時間は一時間これ以上は何がなんでも撤退すること。まずこれは無線だ。作戦中はこれで報告を行うこと。一人残らず帰ってこい。以上!」
アルベルトの話を聞いていた革新派の人が会議室から去っていく。
さっきの部屋へ戻るとユリアがリリスをソファーへ寝かしもう一度毛布を被せた。
突然、ポケットに入っていた端末が鳴り、外に出て電話へ出る。
『生きているかい?睦月久嗣くん』
「誰だ、あんた?」
『酷いなぁ。ボクだよボク。"ケルベロス"のルイーナ・ヒューストンだよ』
彩姉を殺した張本人とわかった瞬間怒りが湧き上がるが久嗣はそれを抑える。
「何の用だ?」
『ただの世間話だよ』
「本音は?」
『騙されないかぁ、君にとっていい話を持ってきまんだよ。今君の仲間にいる内通者についてのね』
「内通者だと?あんたの話が信用できるかっ!」
『沙耶音、、本名はソウ・リーウェイ。元諜報機関のエージェントで連盟のスパイ。君の情報をボクに流したのも彼女だよ』
「ふざけるな!お前が沙耶音の何を知ってる!」
怒りを露わにする久嗣をルイーナは嘲笑う。
『信じるも信じないも君次第だしね。ならもう一つの情報を君に教えてあげるよ。君の失った記憶とあの事件については連盟の会長が知ってるよ』
「あんたは何を企んでいる?」
『特に何も企んではいないよ、今はね』
「お前は彩姉を殺した。その恨みを忘れたとは言わせねぇぞ!!」
『ボクを殺すことは君にはできない』
通話を切ると窓越しから心配そうに久嗣のことを見つめるユリア。
「悪い、聞こえてたか?」
「いえ、ハッキリとは聞こえませんでした。怒鳴り声が聞こえたので少し心配になりまして」
「悪い、迷惑電話がかかってきてな」
端末をポケットへしまい、爆睡しているリリスを叩き起こす。
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