崩壊と再生Ⅲ

男に案内されるまま、部屋へ入ると見覚えのある同級生だった人達が立っていた。

「本当に睦月くん?」

可憐な顔立ちの少女が涙を浮かべ、久嗣へと近づくき頬や体に触れる。

「ああ、久しぶりだな。委員長」

「むづぎぐぅん!!!」

糸が切れたように少女は涙を溢れ出し、鼻水をすすりながら抱きついた。

「そろそろ、離してくれないか?後ろの方から殺気を感じるんだ」

「ご、ごめんね!馴れ馴れしいよね」

「そんなことはない」

「委員長さん、、早く、彼の身だしなみを整えてはくれませんか?」

沙耶音達が鬼の形相で委員長を睨む。

「は、はい!」

一時間くらい経ち、渡された鏡を見ると無精髭は綺麗になくなり伸びきった髪は整えられていた。

「ありがとう、委員長」

「い、いえ、気にしないでくださぁい!!」

顔を赤くした委員長は走り去っていった。

「準備も整ったし会議室に行くわよ」

リリスの後ろを着いていく。

「みんなも大人びてまるで自分だけ時が止まっていたみたいな変な気分だな」

「あんな部屋に五年も隔離されてたら時間くらい狂うわ」

「さ、五年!?そんなに経ってるのか!?」

「はい、久嗣様が閉じ込められてから五年。すごく長かったです」

沙耶音が久嗣の腕に自分の腕を通し、まるで恋人のように身体を近づける。

「沙耶音様!抜け駆けは禁止ですよ!そういう約束だったじゃないですか!」

「何の話でしょうか、聞き覚えがありませんね」

ふっと鼻で笑う沙耶音。

そんなこんなで会議室の前まで来た。

「流石に離れてくれ。じゃないと入れない」

「分かりました」

沙耶音は残念そうな顔をして久嗣から離れた。

「ようやく来たか」

席には轟と烏丸、見覚えのない男と少女が座っていた。

「よっ、久嗣。元気か?」

「くさっ!あんたまだ酒飲んでんのかよ!てか場所考えろよ」

「睦月久嗣とその同行者、すぐに座れ。こっからは今後の計画についての話をする」

無愛想な男が久嗣たちを睨む。

「そう怒ってやんなよ、アルベルト」

「轟さんは甘いんですよ。我々がこれから行う計画には人類の命運もかかってるんですよ」

「お初にお目にかかれて光栄です、睦月久嗣様。私はベアトリクス・エルミウスと申します」

アルベルトの隣に座る少女は立ち上がり裾の端をつかみ微笑む。

「あ、ああ、よろしく」

轟の隣に久嗣が座り、その隣にジャンケンで勝ったユリア、沙耶音、リリスの順番で座っていく。

「これからの計画について話し合いを始めましょうか。皆さん」

アルベルトは立つと舞台へ上がり、スクリーンをリモコンで下ろし始めた。

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