第6話
「え~と、それから...あぁ、ちょっと待って下さいね...喋り過ぎたんで喉渇いちゃいました...」
そう言ってアズミは侍女を振り返る。
「私のお茶を入れ直して貰える? それと他の皆さんにもお伺いして?」
「畏まりました」
他にも何人かお茶を入れ直して貰っている。その間に男性陣は先程受け取ったペンダントをそれぞれ身に付けていた。
「ふぅ...あ~! 生き返った~!」
アズミはお茶をたっぷりと堪能してから、徐に話を続けた。
「さて皆さん、一つ注意事項というかお願いです。先程、あの女には『何か困ったことがあったら男性ではなく女性を頼れ』と言いましたが、あの女は間違いなく私達を頼ったりはしないでしょう。恐らくですが」
そこでアズミはいったん言葉を切って、
『女の人に話し掛けたら無視されたんですぅ~! 私にはやっぱり皆さんしか頼りになる方はいらっしゃいません~!』
「とか言って泣き付いて来ることでしょう。いいですか? 決して情に絆されてはいけませんよ? かといって、いきなり冷たく突き放したら不審がられるでしょうから、やんわりと突き放して下さいね? 出来ますか?」
男性陣はいきなりクオリティーの高い物真似を披露されてちょっと戸惑ったが、全員が神妙な顔をして頷いた。
「私からは以上ですかね。それじゃあ次行きましょうか、カズミ!」
「Yes,Ma'am!」
いきなりカズミが立ち上がって敬礼するもんだから、それを目の前で見た男性陣はビビッた。
「報告します! ホヘット男爵令嬢は、あの女は隣国と繋がっております!」
「隣国と!?」
ハインツが目を丸くする。
「はい! 正確にはあの女がと言うよりは、あの女の実家である男爵家がと言うべきでしょうが」
「なんでまた隣国と!?」
「密輸です!」
「な、なんだって!? それは本当か!?」
ハインツは目を剥いた。
「間違いありません! 中々巧妙に立ち回っているらしく、未だ確たる証拠は掴めておりませんが、男爵はここ数年の間に何度も隣国に渡っております! そして隣国を実質的に支配している四大公爵家のどれかと密かに接触しているようであります! 我が家は隣国との繋がりが深いため、このような情報を入手できました!」
「...なるほど...確かに不審な動きだが、それだけでは罪には問えまい。密輸と一口に言っても一体なにを密輸しているらしいんだ?」
「それに関してはサズミの方から説明致します! サズミ!」
「Yes,Ma'am!」
サズミまで立ち上がって敬礼するのを見て、なんだ!? ここはいつから軍隊になったんだ!? お前らは一体誰に忠誠を誓ってるんだ!? 色々と突っ込みたいハインツであった。
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