備中松山城(日本100名城No.68)
翌日の朝7時。
「「起きろー!」」
呼びかける声に、僕は目を開けた。
目の前に、妹の美咲と上杉先輩が覗き込むようにして僕を見下ろしていた。
「あ…、おはようございます…」
僕は眠気を堪えなかがら、身を起こした。
「おはようございます、じゃなあいよ」
上杉先輩は呆れる様に言う。
「キミたち、一緒に寝てたの?」
「ええっ!?」
僕は、上杉先輩の発言に驚いて、横を見た。なんと前田さんが僕のベッドの中で寝ているではないか!
前田さんは僕のほうを見て笑っている。
僕は驚いて尋ねた。
「な、な、何でここで寝てるんだよ?!」
「えー、お兄さんに無理やり引き込まれたんですよー」
「はあっ?! そんなことするわけないだろ?!」
僕と前田さんのやり取りを見て、妹と上杉先輩は腹を抱えて笑っている。
そして、上杉先輩はスマホを向けて写真を撮り始めた。
「ちょっと! 写真撮らないでくださいよ!」
まったく、くだらないいたずらばかり仕掛けてくる。
「毎回、キミが女をベッドに連れ込んでいる証拠写真がどんどん溜まっていくよ」
上杉先輩は笑いながら言う。
「今までのを見せてください!」
妹が頼むと、上杉先輩はスマホの画面を妹に見せる。
前田さんもベッドから降りて上杉先輩の所に行き、画面をのぞき込む。
「これが織田ちゃんで、これが細川ちゃんで、こっちが徳川さんで…、これが細川ちゃん2回目」
上杉先輩は解説する。
「お兄ちゃん! 何やってるの?!」
妹は怒り出した。
「それは全部、上杉先輩のいたずらだろ?! 濡れ衣だ!」
「織田ちゃんは違うでしょ? 君が連れ込んだんじゃん」
「あれは彼女が勝手に入ってきたんですよ」
「やっぱり、白雪姫とやってるんだ?!」
妹が叫ぶ。
「やってないって」
「お兄さん、すごーい」
前田さんは驚いてみせた。
「全然すごくない」
アホなことはこれぐらいにして、僕は前田さんと上杉先輩を部屋から追い出す。
妹が着替えるというので、その間、僕はバスルームで着替えて準備完了。
他のメンツとはホテル1階の食堂で集合して朝食を取る。
朝食は宿泊費に含まれていて、無料というのでありがたい。
バイキング形式なので、それぞれ、好きなものを取って来てテーブルについて食べる。
朝食を食べ終わると、お城巡りに出発する。
今日は2つのお城をめぐるという。
まずは、備中松山城に向かう。
JR岡山駅から備中高梁駅まで、約1時間の旅。
備中高梁駅に直結している複合施設はとても綺麗で図書館などが併設されていた。
備中高梁駅からは高梁市内循環バスに乗って移動。
「松山城登山口」バス停で下車。
ここからは徒歩なのだが…、僕らは急な山道を延々と登っていく。
山道はきつい坂で、みんなヒイヒイ言いながら登っていく。
1時間ほどかけてやっと到着。
立派な石垣が見えて来る。
さらに階段を登って、天守閣の近くのベンチに座ってしばらく休憩。
みんな、疲れてぐったりしている。
スタミナの無い前田さんは、特にぐったりしている。朝のジョギングの効果はまだ出て無い様子。
備中松山城は「三大山城」と言われていてので、大変なわけだ。
ちなみにほかの2つは、すでに訪問した岩村城と高取城。
備中松山城は1240年、秋庭重信が居城を築いたのが最初といわれる。その後、城主は次々と変わり、毛利輝元が城の改修を指揮したという。関ヶ原後、徳川氏の直轄領となり、さらにその後、水谷氏が入り標高約432mの小松山の本丸の大改修を実施し、三大山城と称される現在の姿となった。その後、約1年間赤穂藩の大石内蔵助が城番として在城した。その後も城主は次々と変わり明治維新の後、廃城となった。
備中松山城は現存天守12城の1つで、国の重要文化財となっている。
入場料500円を払って中を見学。
現存天守らしく、天守を登る階段は急である。
転ばないように気を付けて登る。
天守の見学を終えると、再びベンチで休憩をしてから下山開始。
当然、登りより下りの方が楽なので、のぼりと違って妹と前田さんは楽しそうにしている。
再びバスとJRを乗り継いで岡山駅に戻ってきた。
岡山駅の駅ビルで、少し遅い昼食を取って、次の目的地である岡山城を目指す。
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備中松山城の情報
https://www.bitchumatsuyamacastle.jp/
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