チョコ泥棒
試験期間は続く。
2日目が終わったあとは、雪乃も毛利さんも勉強会をやろうと言ってこなかったので、1人で帰宅した。
お昼前なので、自宅には誰も居ない。
両親は共働き、妹はまだ中学校。
なので、1人でカップ麺を啜って、リビングでTVでも見ながらくつろいでいる。
平日昼間のTVってあまり面白くないな。
ソファに寝転んで、スマホをイジったりして、しばらく過ごす。
そう言えば、ヴァレンタインデーにもらったチョコをまだ食べずに、そのまま残っているな。
12人の女子にもらったチョコは冷蔵庫で保存している。
食べてみよう、と思って冷蔵庫を開けた。
おや?
チョコの包みが開けられているのが、いくつかあるぞ。
とりあえず、全部取り出して、テーブルの上に並べる。
4つほど包みが開けられている。
これは、どういうことだ?
そこへ、妹の美咲が帰宅してきた。
「ただいま」
「ああ、お帰り…。お前、チョコ食べただろ?」
僕はテーブルの上に並んでいるチョコを指さして質問した。
「あはは。バレた?」
妹は笑ってごまかそうとする。
「泥棒だぞ」
「大丈夫、大丈夫。中に複数個入っていたのを1個食べただけだから」
「全然、大丈夫じゃない」
「お兄ちゃん、チョコを全然食べずにずっと冷蔵庫に入れっぱなしだから、いらないのかと思って」
「そんなことがあるか! ゆっくり味わって食べようと思ってたんだ」
「私のチョコあげるから、それでいいでしょ?」
そう言えば、妹のチョコは拒否したんだっけ。まだ、残してあったのか。
「しょうがないな。じゃあ、くれよ」
妹は冷蔵庫を開けて、先日僕に渡そうとしたチョコの入った包みを手渡してきた。
「お兄ちゃん。去年までは、私からしかチョコもらえてなかったのに、その恩を忘れて、私のチョコを拒否するとか。罰当たりだよ」
妹がまた言いがかりをつけて来た。
最初、『チョコあげない』って言ってたのは妹の方だろう。
相手をするのが面倒なので、適当に答える。
「わかった。わかった。今、受け取ったからいいだろ?」
僕は12個のチョコと妹のチョコを全部手にして、自分の部屋に籠った。
改めてチョコを机の上に並べ、くれた相手を再確認する。
本命チョコ。
・雪乃
・真帆
・赤松さん
本命でないかもしれない疑惑チョコ。
・毛利さん
毛利さんは、悠斗にチョコ渡していた。
あれは本命チョコなんだろうか?
もし、あれが本命なら、僕のは義理チョコということになる。
義理チョコ。
・伊達先輩
・上杉先輩
・小梁川さん
・妹
以下、不明分。
・福島さん
まあ、義理なんだろう。
かろうじて包みなどに名前が書いてあったのだが、顔と名前が一致しない分。
・一条さん
・鍋島さん
・蜂須賀さん
・山名さん
全員違うクラスだよな…?
1年生かな? 上級生もいるのか?
知らない人はホワイトデーで返す時、困るな。
さて、どうしたものか…?
まあ、3月に入ってから考えるか。
おやつにチョコを食べ始めるが、さすがに全部を一度に食べるのは量が多すぎる。
明日に残しておこう。
試験対策は、今までに散々やったのでちょっと余裕がある。
なので勉強は少しだけにして、夜はゆっくりとした。
そして、翌日の試験3日目も無事に終了した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます