写真集
試験4日目が済んで、試験期間はこれで終わり。
肝心の試験の手ごたえだが、結構、出来たような気がする。
クラスでは自己採点とかやる人もいるようだが、僕はそう言うのはしない。
試験は午前中に終わり、まだお昼前。
真帆から昨夜のうちにLINEで連絡があり、いつもの場所に呼び出されている。
という訳で、とりあえず、池袋サンシャインシティのマックへ。
真帆の学校も試験期間だったので試験お疲れ様会と、明日、天皇誕生日からの3連休に行く名古屋遠征の話をしたいという。
待ち合せには僕が先についたようだ。
ドリンクを買って適当な席に座って待つ。
しばらくすると、真帆がやって来た。
「おまたせ」
真帆は笑顔で挨拶をする。
今日も彼女は大き目のトートバッグを持っていた。
真帆と会うのは、先週のバレンタインデー以来だから、1週間と少しぶりだな。
何のかんの言って真帆と毎週会ってるよな。
「やあ」
僕は返事を返した。
「バレンタインのチョコ食べた?」
「え? ああ、食べた。美味しかったよ」
真帆やみんなからもらったチョコは試験期間中におやつと夜食として、すべて平らげた。
その答えを聞いた真帆は微笑んだ。
「良かった…。じゃあ、行こうか?」
「えっ? どこに?」
「お昼ご飯を食べに行こう」
という訳で、近くのファミレスまでやって来た。
2人で安いランチを、テーブルに置いてあるタブレットで注文する。
真帆は持っていたトートバックを手渡してきた。
「これ、明日からの物販で売る物ね。新商品も入ってるよ」
僕はトートバッグを受け取った。
ちょっと重い。
「新商品? 今度は、なに?」
前の郡山遠征のときは、新商品でアクスタを作って売ったけど。
「今回は写真集」
「ほほう…。見て良い?」
「いいよ。1冊、サンプルであげるよ」
「ありがとう」
僕はバッグの中をのぞいた。
茶色い紙でくるまれた50冊程度の冊子が入っている。
重いわけだ。
僕は茶色い紙を開けて、1冊取り出した。
写真集の大きさは一般的な文庫本のサイズ。
そして、中をペラペラとめくってみる。
O.M.G.のメンバーの私服姿とかオフショット的なものが多い。
結構、可愛く撮れてるな。
「写真、いつ撮ったの?」
「放課後とかに集まって、写真部の人にお願いして撮ってもらったよ」
「へー…。写真集は業者に作ってもらったんでしょ? 高かった?」
「これぐらいなら、安く作れるよ。そして、高く売る」
そう言って真帆はニヤリと笑う。
「じゃあ、明日、それを持ってきてね」
また、荷物持ちか。
まあ、その売り上げから、遠征の旅費とか僕のバイト代も出るからな、我慢するとしよう。
注文したランチが、配膳ロボットが運んできた。
僕らは、ランチを食べながら話を続ける。
「ほかに物販で売る物のアイデア無いかな?」
「うーん、そうだな…」
何も思い浮かばない。
「エッチなのはダメだよ」
「わかってるよ」
「まあ、純ちゃんだけが見るなら、私のエッチな写真とか見せてもいいけど」
「はあ?!」
真帆が突然変な事を言うので驚いた。
いや、待てよ…。せっかくだから見せてもらおうか…?
“じゃあ、見せて”と、言おうとした、その瞬間。
「冗談だよ」
真帆は言った。
「は?」
「冗談」
なんだ、冗談か。
ぬか喜びさせるなよ。
しかし、真帆は本命チョコをくれるぐらいだから、僕と付き合うことになっても良いという事だろう。
ということは、エッチなイベントが発生しても全然OKなのでは?
などと、いろいろ妄想していると、真帆が声を掛けてきた。
「で、どうかな?」
「え?」
そうだった、物販のアイデアを考えてと言われている最中だった。
今ある商品は…。
Tシャツ、タオル、チェキ、アクスタ。それに写真集か…。
僕は、少し考えるも思いつかなかった。
「考えておくよ。何かいいアイデアを思いついたら言うよ」
「うん。よろしくね」
そう言って、真帆は微笑んだ。
その後も僕と真帆は世間話などをして、2時間程ファミレスに滞在した後、帰宅した。
明日からのお城巡り&ライブ遠征に備えて早めに就寝した。
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