呼び出し
歴史研の合宿と勉強会が終わり、次の週はお盆ということで、活動は無かった。
個人的な事では、家族で墓参りとかには行ったが、しばらくは、歴史研のイベントの無い平和な日々が続いていた。
お盆も開けてすぐのある日、伊達先輩からLINEが来た。
≪用があるので、明日10時に部室まで来て≫
なんだろう?
翌日、登校して3週間ぶりに部室に向かう。
ちょうど階段のところで伊達先輩と出会ったので、一緒に部室に向かった。
扉を開け部室に入ると、僕らは椅子に座った。
僕は尋ねる。
「それで、何の用ですか?」
「なんでも、島津先生が頼みたいことがあるそうよ。先生は武田君の連絡先を知らなかったから、私のところに連絡があったの」
しばらくすると、島津先生がやって来た。
「おはよう」
「「おはようございます」」
「呼び立ててしまって、ごめんなさい」
「何か頼みたいことがあるとか聞きましたが、何でしょうか?」
「卓球部の合宿が来週あるんだけど、武田君に雑用の手伝いで来てくれないかなって」
「え?」
ここはお断りする。
「いや、いろいろ忙しくて…」
「そうなの? 武田君は大抵、家でゴロゴロしているそうだから、って聞いたんだけど」
「誰にですか?!」
「上杉さんよ」
おのれ、上杉先輩、余計なことを言いよって。
「それに温泉で卓球した時の『貸し』があるもんねー」
そう言って島津先生はニヤリと笑った。
なんという事だ…。
僕は頭を抱えた。
「来週の月曜から2泊3日ね。場所は河口湖にある卓球もできる施設よ。集合場所と時間は、池袋のいけふくろうの前に8時。旅費は卓球部が持つから安心して。じゃあ、よろしくね」
島津先生は一気にそう言うと、颯爽と去って行った。
なんという事だ。平穏な日がまた減った。
僕が呆然と天井を見つめていると、伊達先輩が話しかけて来た。
「今日、暇?」
「暇です」
突然聞かれたので、思わず本当にことを答えてしまった。
「あ、いや、忙しいです」
「ゴロゴロするので忙しいのかしら?」
「えーと…」
とっさに別の言い訳を思いつかなかった。
「ちょっと、生徒会の用事を手伝ってほしいのだけど」
そうか、伊達先輩は生徒会長でもあるので、生徒会の事もやっている。当たり前か。
「どんな用事ですか?」
「多分、武田君にとって簡単な事よ。内容は教えるから、これから生徒会室まで行きましょう」
また押し切られたような気がするが、まあ、暇だから良いか。生徒会が普段何をやっているか全く知らないので、ちょっと好奇心もあった。
僕らは歴史研の部室を出て生徒会室に向かった。
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