二条城(日本100名城No.53)

 彦根から再びJRに乗る。

 お次の目的地は二条城だ。

 彦根~京都~二条と乗り継ぐ。約1時間15分。


 途中、電車の中で伊達先輩が話しかけて来た。

「私たち修学旅行は京都と奈良だったのよ。来年、あなたたちも多分、同じだと思うわ」


「修学旅行っていつでしたっけ?」


「5月の下旬よ」


 そうか、僕が歴史研に入部したのは6月初めだから、修学旅行から帰って来た後、上杉先輩は部員の勧誘活動をやっていたのか。そして、僕は歴史研に引き込まれた。


「修学旅行では、どこを見たんですか?」


「京都では金閣寺、清水寺、嵐山。後は、お土産屋さんとかね」


 伊達先輩はその時の写真をスマホで見せてくれた。


「二条城は見なかったんですね」


「だから、ちょうどよかったわ」


 二条駅から二条城までは徒歩10分程度。

 駅から数分で、お堀が見えた。二条城の入り口までは、少々回り込む形になるのでお堀に沿ってしばらく進むことになる。


 入り口にようやく到着すると、入城料を払って入城した。


 二条城は平城で天守閣は無い。

 ここも徳川家康の命令で築城されたそうだ。

 そして、現在は世界遺産に指定されているという。


 僕は伊達先輩に尋ねた。

「今回の旅は家康ゆかりのお城が多いですが、狙ったんですか?」


「いいえ。たまたまよ」

 伊達先輩はそう言って微笑んだ。


 僕らは、お城の中を進む。

 二の丸御殿の見学。中の廊下をしばらく歩くと、

 大政奉還のシーンが等身大の人形で再現されている大広間があった。


 大政奉還というと、江戸幕府が権力を天皇に渡したあれだっけ?

 教科書にその時の絵が載っていたような気がする。歴史的なことがあった場所に来れて、ちょっとだけ感動した。


 引き続き、中をうろうろする。

 そして、二の丸庭園、本丸庭園を見学して、二条城を後にした。


「少し早いけど、宿に行きましょう。すぐ近くだから」

 到着した宿は、予想に反して旅館ではなくホテルだった。

 伊達先輩がチェックイン。ここも4人部屋は同じ。部屋に入ると、ちゃんとベッドが4台おいてある。


 皆が荷物を置いて、くつろぎ始めたところで僕は話しかけた。

「ちょっと、行ってみたいところがあるので、行ってきていいですか?」


「いいわよ。気を付けて行ってね」

 伊達先輩は答える。


「どこ行くの?」

 上杉先輩が尋ねる。


「電気の神様をお参りに」


「なにそれ?!」


「文字通り、電気の神様がいる神社です。ネットで見つけて興味が出たので」


「また、変わったのを見つけたねぇ」


「先輩たちは行きませんか?」


「私は疲れたから休むわ」

 と、伊達先輩。


「アタシもいいや」

 上杉先輩はそう言ってベッドに横たわる。


「毛利さん、どうする?」


「私、行く」

 毛利さんは手を挙げて意思表示をした。

 

「これ使って」

 伊達先輩はそう言うと、青春18きっぷを僕に手渡した。そうか、これを使えばJRは追加で運賃を払わなくてもいい。

 

 というわけで、僕と毛利さんの二人は部屋を出た。


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 二条城の詳細

 https://nijo-jocastle.city.kyoto.lg.jp/

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