顧問の先生が初登場
僕と毛利さんは歴史研究部の部室前に到着する。
そして、扉を開けた。
すると、目の前にはいつものように伊達先輩と上杉先輩が居るのを予想していたのだが、見慣れない女の人が窓際に立っていた。
彼女の背筋はピンとしたまま、外を眺めていた。髪は肩あたりまで伸び、ベージュ色のスーツが大人っぽい雰囲気を醸し出していた。
誰だ?
僕は思わず、扉の上に掲げてある教室の名前を確認した。
『理科準備室』
間違いない。歴史研究部の部室だ。
僕と毛利さんは部室に入る。
「「こんにちは」」
とりあえず、挨拶をする。
この女の人、どこかで見たことあるような。先生かな?
彼女は僕らを見ると、ニッコリ笑って自己紹介をする。
「私は歴史研の顧問の島津よ。よろしく。武田君と毛利さんね」
顧問、居たんだ。まあ、居て当然か。
「「初めまして」」
僕と毛利さんは改めて挨拶した。
島津先生は話を続ける。
「歴史研は伊達さんがしっかりしていて、安心して部を任せられるから、私は顔を出すことが少ないのよ」
すると、すぐに伊達先輩と上杉先輩も部室にやって来た。
伊達先輩は島津先生を見つけると尋ねた。
「あら、島津先生。今日は?」
「たまには、ここにも顔を出さないといけないと思ってね。それに、遅ればせながら新入部員の二人にも挨拶をと思って。立ち話もなんだから、座りましょう」
島津先生と僕らは椅子に座った。
「夏休み中はお城巡りをするの?」
島津先生が尋ねた。それには、伊達先輩が答える。
「はい、10ほど。あと、温泉合宿もします」
「いいわね。温泉は、どこへ?」
「伊東です」
「いつ行くの?」
「8月上旬です」
「じゃあ、合宿は私が車を出してあげるわ」
「それは助かります。お願いします」
「私も温泉に行きたいしね」
そう言うと島津先生は笑って見せた。
「卓球部のほうは良いんですか?」
「卓球部?」
僕は意外な単語に思わず、反応してしまった。
「私は、卓球部の顧問も掛け持ちしているのよ」
「うちの学校は、小さい部活が多いから、先生たちは顧問を掛け持ちしていることが多いんだよ」
上杉先輩が解説する。
そうなんだ。
「卓球部も合宿があるけど、日程が被らないから大丈夫」
島津先生は言う。
そう言うと島津先生は立ち上がった。
「じゃあ、新入部員に挨拶も済んだし、行くわね」
「「「「さようなら」」」」
歴史研一同が挨拶する。
島津先生が部室を出て行くのを見送って、伊達先輩が話を始めた。
「さて、お城巡りの件だけど。予定通り、中部から関西方面へ、来週の火曜から木曜に掛けて2泊3日で行くわよ。大丈夫?」
「「「大丈夫です」」」
「どこのお城を巡るんでしたっけ?」
僕は念のため尋ねた。
伊達先輩が解説する。
「1日目は岡崎城、犬山城。犬山城の近くに泊まって、2日目は彦根城、二条城。京都に泊まって、3日目は大阪城を見てから東京に戻って来る予定」
「なるほど」
前日聞いたのと、宿泊場所が違うが。まあいいか。伊達先輩にお任せしよう。
「朝6時集合ね」
「また、早い時間ですね」
「青春18きっぷは在来線しか使えないから時間がかかるのよ。この前みたいに、道中は寝ててもいいわ」
そうか、その18きっぷとやらで行くんだった。良くわからないが、お任せしよう。
「では、そうします」
僕らはその後、世間話などをして解散した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます