江戸城(日本100名城No.21)

 次の目的地は、江戸城=皇居だ。


 八王子城ガイダンス施設で少し待って、バス、京王線、地下鉄を乗り継いで、東京駅までやって来た。

 地下鉄丸ノ内線の東京駅の改札を降りて地上に出る。


 東京駅丸の内駅前広場。

 東京駅の駅舎もクラシックだ。伊達先輩によると辰野金吾という人の設計らしい。


 駅舎を背にすると、広場を正面に左奥に丸ビル、右奥に新丸ビルが建っている。

 そういえば、知人か誰かが、『丸ビルは墓みたい』と言っていたな。


 その丸ビル、新丸ビルの間を通る、行幸通りを進み、内堀通りに突き当たると左に曲がる。

 皇居前広場に入り、二重橋前に向かう。


 観光客が多い。見たところ多くが外国人観光客だ。聞きなれない言語が飛び交っている。


 東京駅にはたまに来るけど、二重橋を見るのは初めてだな。

 僕は写真を二重橋の写真を撮った。

 先輩二人は二重橋をバックに自撮り。


 その後、少し散策する。

 楠木正成の銅像があった。


「楠木正成って、湊川の戦いで死んだ人ですよね? なんで、ここに銅像があるんですか?」


 僕は少ない知識から、疑問を伊達先輩にぶつけた。


「さあ。何故かしらね?」


 意外な回答に少し驚いた。

 おお、伊達先輩でも知らないことがあるのか。


◇◇◇


 楠木正成像から歩いて、有楽町駅までやって来た。

 駅チカのマックでジュースを飲みながら休憩をする。

 当たり障りのない世間話をして時間をつぶしていた。

 僕は生徒会長選挙の事が気になっていたので、伊達先輩に尋ねた。


「伊達先輩、生徒会長選挙のほうはどうなんですか?」


「わからないわね。頑張れば何とか、という感じね」


「目立たない形なら、何か手伝いますよ」


 僕は、エロマンガの件があるから表立って動くのは良くないと思って、そう言った。


「ありがとう。クラスメートに私に投票してってお願いしておいて」


「わかりました」


 といっても、クラスに仲の良いのは少ないのだが。


「上杉先輩は何か手伝わないのですか?」


「アタシは、手伝ってるよ」


 上杉先輩はスマホをいじりながら、視線をスマホから外しもせず答えた。


「そうなんですか? 何をやっているんです?」


「それは、ヒ・ミ・ツ」


「そうですか…」


 僕はそれ以上、追及しなかった。


「武田君、LINE交換しておかない?」


 伊達先輩が、提案してきた。


「あっ、私も」


 上杉先輩も同調する。


「いいですけど、僕、あまりLINEとかやらないんですよね」


「アカウントはあるの?」


「一応はあります」


「じゃあ、交換しましょう」


「はあ…」


「既読スルーとかしたら、怒るからね」


 上杉先輩が睨んできた。

 ああ、めんどくさいな。

 しかし、先輩二人には抵抗ができず、LINEの交換をして、LINEグループというやつに入らされた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る