繋ぎ直せば良い
『繋ぎ直せば良い』
「思うに、ここ最近関係がぎくしゃくした根本の原因は『恋愛的に自分が抜け駆けすること』を全員が嫌った事に因って各々の態度が硬化した事に有るんじゃねぇか、と」
帰りしな立ち寄ったドラッグストアの紙袋を手探り、購入した商品を卓上に並べながら三人に語り掛けた。
「それなら、強制的にでも全員同じ土俵に立たせてしまえば、『共犯関係』と言う以前より強固な結びつきで繋ぎ直せば良い。と、まぁ根っから下衆だからこんな手しか思い浮かばんかった」
鑢付き爪切り、剃刀、シェービングローション、歯磨きセットを人数分にマウスウォッシュ、避妊具。
「脅しを掛けようって心算は無いが、この子はもう済ませた。『一緒になるかどうかは絶対に二人の気持ちで決めなきゃダメだから』と口止めされてたが…変に隠し立てするよっか聞いといた方が良かったろ?」
最期に潤滑油を置いた瞬間彼の顔に明確な緊張が走ったのが見て取れた。
「…で、どっちから始めるね?俺は何方からでも構わん、身支度は浴室で好きにやってくれ」
「…ズルい、ウチの時こんなに色々用意してくれなかったじゃん」
「突然押し掛けて来といて無茶言うな…大丈夫だ、俺はお前ぐらい生えてる方が好「もう最っ低!だまればかぁ!」
「…」
「…」
割合強めに叩かれた側頭部を擦りながら二人の様子を窺う。昼の内に凡その経緯を聞いていた彼と違いお嬢は何の説明もなく連れ込んだ為か状況の把握に苦心しているらしい。眉間に指を当て苦悩している様は全く絵になるが、説得には多少の時間を要するかも知れない。
それならばと彼に目線を移すが一向に此方と目を合わせようとしない。此方は此方で物理的に時間を要するのだから叶うなら早々に決心を決めて欲しいと言うのが本音だ。
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