第18話 お花畑
「好花、連れていきたいところがある」
そう謙信に言われて、来た場所。
それは上杉謙信の居城、春日山城にある毘沙門堂だった。
「え! これって、もしかして、毘沙門天像ですか!?」
毘沙門堂の中には、毘沙門天像が着座していた。
思ったより小さく、好花の身長の半分くらいの背丈だ。
それでも、この毘沙門天像からは圧が感じられる。
「よく知っているな。その通りだ。この毘沙門堂には、毘沙門天像が安置されているのだ。
俺はな、ある日夢を見た。
その夢には毘沙門天という神さまが出てきた。
毘沙門天はな、戦いや勝利の神様なんだ。
その毘沙門天が俺に言ったんだ。
お前は、毘沙門天の化身だ。とな。
不思議な話だろ。
そんなことを信じて、俺は今までやってきた」
ただの夢をこの人は生涯信じて、本当に戦に勝ち続けちゃうだもんな。
信じ続けることって、大事なんだなと好花は思った。
「景虎様は、これからも戦に勝ち続けますよ。私は断言できます」
「なんだそのまじない師みたいな言い方は。でも、好花に言われると本当にそうなる気がする。
でな、この毘沙門堂の隣が開けているだろう。ここに何かを植えようかずっと考えいてな」
なるほど。たしかに毘沙門堂の隣は、何も建てられていなく、土が広がっている。
「んでさ、好花の名前って
花が好き
じゃないか?
だから、好花にちなんで、結婚記念ということもあるから、ここにお花を植えようと思うんだが、どうかな?」
「え! それはとても嬉しい!
わたし、お花好きだし。じゃあ、お花と一緒に薬草も植えましょう! そしたら、戦でけがをしても薬草が治してくれます!」
「いい考えだ」
こうして、2人は、毘沙門堂の隣を『お花畑』と名付け、お花や薬草を植えた。
かわいい呼び名だ。
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