的当教授の量産

数日後、僕は飲料メーカーの社長に呼び出され、的当まとあて教授を量産する工場に来ていた。

ガラス越しに見える生産ラインでは、高速で、虹色に光る油のような液体が500mlペットボトルに充填じゅうてんされ続けていた。


真島まじま様、的当まとあて教授の量産体制が整いました。混合した液体を教授と同じにする性質を利用して、100万本/日の量産を可能にさせました。」


「素晴らしいです。あなた方に依頼して本当に良かった。」


「もちろん、これだけでは終わりませんよ。広告を打ち出し、多くの人に広めます。」


ギュッ!

俺は社長の手を強く握った。

「頼みましたよ。」


計画は順調に進んでいる。全ては全ての人を幸福にするのも時間の問題だろう。


〜〜〜〜

「全ての人に幸福を!『fije Hdigqshiijsguug swivdu』」

…というようなキャッチフレーズを打ち出し、全国で放映。その結果、的当教授は日本中で流行した。


そして、1週間後、全ての日本人は幸福になった。

争い、飢え、不満、その他諸々の悪徳は的当教授の元に粛清された。


そして、全ての日本人は、的当教授を信仰するようになり、的当教授生産工場は神殿となった。


ワァァァ!

「お願いだ!的当教授をもっとくれ!」

「俺たちもっと、もっと幸福になりたいんだ!」

空いた敷地に特設で作られた広場に、さらなる的当教授を求める人々が群がってた。


「お静かに!幸福はまもなく来ますよ。」

僕は、広場にせり立つように作られたバルコニーから人々に号令をかけた。


「真島様。本日分が届きました。」

従業員が的当教授の入ったバケツを持ってきてくれた。


「皆さん!お待たせしました。これが『救い』です!」


ザッバーン!!

大量の的当て教授が、土砂降りの雨のように降り注いだ。


「あああ!なんて幸せなんだ。」

「ありがたい、ありがたいよ!」

人々は皆幸福そうな微笑ほほえみを浮かべている。


そうだ!もっと、もっと幸福になれ!

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