天網恢恢疎にして漏らさず~第21話ラブストーリー(sigh with love)
嶋 徹
第1話(小学4年生)
「見た?」と僕、徹。
「見たよ!」と秀。
小学校から道場まで缶蹴りしながらの会話。
サイボーグ009の1話目。
「神様、初めてみた!核ミサイル消したね!」
「僕も初めて見た!でもさ神様いるなら核ミサイルが発射される前に巨人をやっつけてくれればよかったんじゃないの?」と納得がいかない秀。
そこでうちらの大将の英ちゃんが偉そうに
「神様がすぐに助けてくれたら人間は努力しなくなるやろ、だからギリギリでしか助けてくれないんだよ」と満足顔。おまえはクリスチャンか?
仏教徒の秀が「なるほどね。やっぱり9人の戦士にがんばってもらうしかないね。加速装~置」と叫びながらどこまでも走り去っていった。
秀が走り去った後、英ちゃんが言った。
「医者になりたい」「え、大変そうじゃない」「自分の能力で仕事して、それに見合う報酬を得たい。サラリーマンにはなりたくない。」英ちゃんのお父さんは建設関係の自営をしていた。独立心が強いのだろうか。「要はブラックジャックになりたいでしょ」「正解、アハハッ」「英ちゃんならなれるよ」「なれるかな?」「なれるさ。ピノ子は僕がもらうよ(笑)」「いや、ピノ子はやれない。ピノ子がいるからブラックジャックは仕事を続けることができるんだぜ。一人ならとっくに隠居してるよ」「そうだね。一人はつらいよね。ピノ子は諦めるよ」
缶蹴りの缶は忘れられて、道の脇に転がり次、遊んでくれる子供を待ち続けていた。
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