第10話 交換日記と友達付き合い

 図書委員会が終わった後は真っすぐ家に帰り、夜ご飯と風呂を済ませた俺は改めて佐藤さんが渡してくれたノートを開き佐藤さんの自己紹介を読む。

 

 あの時は時間がなくて流し読みしか出来なかったからな。


 一度、ゆっくりと読んで起きたかったのだ。

 ……

 ……

 ……


 一行目で佐藤さんは自分が図書委員になったことを謝っていたので、俺は図書室に向かう途中にも言ったことをもう一度ノートに書いておく。


【佐藤さんが図書委員になったことに関しては気にしなくていいよ。前にも話したけど、あの状況あの空気じゃ誰だって断れないからね】


 というか、何だったら、佐藤さんと同じ委員会になれて良かったと今は思っている。


 群青さんはキラキラとしていてザ・クラスの人気者だとすると、佐藤さんは表ではあまり持て囃される感じではないけど、裏では人気が出ているタイプの女の子だ。

 

 正直、一緒に話してみたり、その行動一つ一つにドキリとさせられている自分がいる。


 読み進めていくと佐藤さんの好きなものと苦手なものを見てクスリと笑う。


 まだ、短い付き合いだけど何となくそんな感じがする所に佐藤さんの正直というかわかりやすい性格が出ているような気がする。


 意外に思ったのは、佐藤さんが詩と同じ文芸部に所属していることか……詩が文芸部に所属していることは知っていたけど、佐藤さんも同じ部活に所属していたとは、


 そう言えば文芸部の話は詩からあまり聞いたことないな。


 今日遊びの誘いを断ったし、明日遊べないか聞いて見るか、文芸部の話とか、聞いてみたいし……後、佐藤さんのこととか……


 俺はスマホを開き詩に


【明日、俺の家で遊ばないか?お前が暇ならだけどさ】


 と、メッセージを送った。


 暫く返事は返ってこないだろうし、俺は改めてノートに向き合う。


 科目の所と苦手な所の両方の項目に運動に関する話題が書いてあった。


 ……これは相当苦手なんだな。


 後、群青さんに関して手伝えることがあるかもと書いていたが、同時に個人情報は言えないやあまり期待されても困るなど、他の人なら当たり前だと考えて書かないようなことでもしっかりと書いているところに何となく佐藤さんの真面目さを感じた。

 

 ……そう言えば交換日記や筆談の話の時も「節度を守ってですよ」と言いながら腕をクロスさせてバツを作っていたのを思い出し、何となく微笑ましく感じた。


 俺は一通り目を通した後に自分の自己紹介を書く


【俺も佐藤さんと仲良くなりたいので自己紹介をさせてもらいます。

 俺の名前は 林 湊


 好きなものは ライトノベルとアニメ、漫画、ゲームといったサブカルチャー。のめり込むほどではなくて、あくまで嗜む程度だけど。とはいえ、一時期は長期休みを使ってアニメを見まくって昼夜逆転したこともあったんだ。


 苦手なものは 俺も鬱々とした展開とか、頑張っている人が報われないような展開は苦手。


 科目に関しては英語と古典とかは苦手だよ。というか大体苦手、得意科目とか実はなかったり、みたいな……

 えっと、これから同じ委員会をやるにあたって、もっと佐藤さんと仲良くなっていきたいのでこれからもよろしくね。】

 

 これでよし、得意科目に関しては、うん、ほんとにないからな。いつもテスト前は詩に泣きついて勉強教えてもらっているし……

 

 詩と言えば、そろそろメッセージ、見てくれたかな。


 俺はそう思いスマホを確認すると


【丁度、明日は僕も休みだったところさ。是非、遊びに行かせてくれないか】

 

 と返事が届いていた。


 というか、メッセージを送ってきた時間、俺がメッセージを送った時刻と同じなんだが……もしかして元々、スマホを弄っていたのだろうか?

 

 俺は詩のメッセージに


【了解】

 と送る。


 すると、先ほどよりも早くというか、俺が送ったすぐ後にメッセージが届き、


【いつ頃行けばいい?】

 と来たので、


【一時頃でどうだ。】

 と返した。


 にしても詩の奴いつもはもっと返信が遅いイメージがあったんだがな……

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