第3話

「……ってことは、カーナは捕まって奴隷になってるってことですか?」

「うん。よく理解出来たね。流石フィーネットだ。偉い、偉い。」

「もう、急に撫でないでくださいよ!!」

「撫でられるの嫌だった?」

「そういう訳じゃないですけどぉ……」

「じゃあ.、撫でちゃうね。」

「……はい。」


王子に撫でられるのは恥ずかしいが、撫でられるととてめ落ち着くし、愛されているということがひしひしと伝わって来て、とてつもない幸福感に浸される。


王子の優しくて落ち着く手で撫でられて気持ち良くなっている中、私はカーナが捕まって奴隷になっていることを聞いて、内心意地悪く笑う。


話を聞くと、カーナは婚約者奪う宣言をした後すぐに、ロメン王子の元を訪ねたらしい。

勿論、私の婚約者であるロメン王子を魅了する為。

そんなカーナは、魅了スキルをロメン王子に出会った直後発動したらしく、魅了させようとロメン王子に近付いた。


だけど、初めて聞いたがロメン王子率いる王族には国を代表して神様から加護を貰っているらしく、魅了のような洗脳に関するものから毒などの状態異常のスキルを全て無効化するそうで、カーナの魅了は効かなかったらしい。そして、加護は状態異常のスキルを受けた場合、直ぐ様頭の中でサイレン音のような物が鳴り響くらしく、魅了されそうになったことを知ったロメン王子はカーナを捕らえた。


王族に対して、カーナの持つ魅了のような状態異常のスキルを掛けようとすると、その術者は平民なら即死刑。貴族なら、爵位を剥がされて奴隷に落とされるらしい。

勿論加護がある為状態異常になる訳ないけど、王に対しての裏切りということで、このような処置がとられるようだ。



全て秘密にされていることらしいので、初めて聞いたことばかりのことにあまり頭がついていかない。

だけど、カーナが奴隷になっていることだけは確かだ。

しかも、スキル無効の首輪という、スキルを使えなくする首輪が付けられているらしく、魅了はもう使えないようだ。


今まで私が受けるはずだった、愛情やプレゼントなどを奪っていた妹が、奪うのに使ったスキルで、奴隷という人間扱いすらされていない存在になっていることに、可笑しくて私は笑ってしまう。


奴隷になっている妹を想像して内心笑っていると、ロメン王子が私の髪の家を撫でながら、恥ずかしそうに口を動かした。


「それで、フィーネットには言いたいことがあるんだけど………」

「うん?どうしたんですか?」


機嫌よく、私は首を傾けながら聞き返す。


「フィーネットに、あの妹の魅了のような状態異常に関するスキルを万が一でも受ける可能性を無くしたいから、今日フィーネットには加護を授かって貰おうと思うんだ。フィーネットは嫌かな?」

「そ、それって………」

「あぁ。結婚してくれフィーネット。俺の傍に死ぬまで居てくれ。」


そう言いながら、ロメン王子はポッケから親指くらいの大きさもあるダイヤモンドの入った指輪を差し出して、膝をつく。その姿は凛としていて、次期王様というだけあって覇気のような物も感じる。

本当に、奪われなくて良かった。

……にしても、結婚する理由が「私を危険にする可能性を無くしたいから」か。

最初から結婚してくださいと言えばいいのに、凛とした容姿で格好いいのに可愛いとこあるなぁ。


普通ならロメン王子の可愛いさのあまり微笑んでしまいそうだが、何故だがまた自然と涙が出てくる。

そんな私を見て、ロメン王子は慌てて指輪を持っていない手で私の涙をそっと拭き取ってくれた。

そして、私の目を真剣に見つめる。

何処か不安そうな目をしているが、もしかしたら断られるかもと思っているのだろうか?

ふふっ。

そんなことあり得ないのに。

でも、さっきは私のことを驚かせようと、カーナと婚約したとか言って私を泣かせたしな。

…………少しだけ不安にさせちゃおう。


不安そうな旦那様の顔を少しの間堪能すると、夫婦仲良く顔を真っ赤にさせながら、薬指にダイヤモンドの指輪を入れて貰った。


太陽の光に反射されて、その己の輝きに更に磨きをかけるダイヤモンド。

そのダイヤモンドの煌めきは、誰でもその輝きに目がいってしまいそうになる程綺麗で美しいが、それを凌駕する程その指輪の持ち主の夫婦は幸せそうだった。

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