大人の流儀

わたしがいなくなっても

世界は何も変わらず回り続けるだろう

そんな

当たり前のことを考えてしまう夜


わたしがいなくなったら

コイビトは一週間は嘆き暮らしても

たぶん

そのうち諦めて日常を生きていくだろう


存在が薄いとか想いが軽いとか

そんな事じゃなくて

歳を重ねた大人が哀しいのは

きっと、そうでないと辛くて

生きていけないからだ


たとえ、幾つになっても

心は泣いているのに

ものわかりのいい仮面を被って

諦めて納得したフリをする

それが大人の流儀だから



本当はそんな大人の流儀なんて

捨ててしまえればいいのにと思う


かなぐり捨ててしまいたいわたしと

捨てきれないキミがいる

電話ケイタイの向こうとこっちで

囚われたまま


まだ沈黙の魔法は解けない

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る