ケイタイデンワ

一人一台当たり前のように

電話を持つ時代になるなんて

あの頃は思いもしなかったな


たった一台の家にある黒電話が

遠い場所に住む人の声を聞く手段で

待ち合わせのすれ違いも当たり前で


今の携帯電話は

携帯できる電話というだけでなくて

mailにチャット、インターネット

その上、ゲームもできて

写真も撮れるという凄さ

本当に便利な時代になった


遠く離れた人とも

長電話の料金を気にせずに話せる

撮った写真を送ることもできる


待ち合わせでのすれ違いはなくなり

離れた場所との距離も縮まり

人と人はグッと近づいた気がする


なのに時々

何だか寂しくなるのは

どうしてだろう


一文字一文字に想いを込めて

便箋や封筒を念入りに選んで

取っておきのペンで書いた手紙


電話の前で待ち人からの連絡を

祈るように待っていた

あのドキドキする時間


不便でもどかしかった時代の

切ないような愛おしさを思い出す



沢山のことができるようになった

この便利なケイタイと呼ばれるモノが

それを使う人々が


どうか心を失ってしまいませんように

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