夜のこびと

昔、夜中に目を覚ますと

灯りのついた部屋に

見えたのは母の背中

縫い物をしていたり

片付けをしていたり

その日のうちに出来なかったことを


まるで童話の

靴屋のこびとさんみたいで

朝には出来上がって片付いていて

子ども心に

お母さんは凄い、と

思ったのを覚えている


ふと、そんなことを思い出した

夜中、息子の繕いものの途中で

母には遠く及ばないけれど

夜のこびとになって

なんとか朝方までには

仕上げてしまおうと思っている


手を休めて

ふふふ、と笑ってしまった


『お母さん、わたしも何とかやってます。誰かの為だと不思議にできるものですね』


夜のこびとは

こうして、また手を動かす




雨音が聞こえてきた


あの子が出かける時には

降り止んでいるといいのだけど

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