父の娘

なにくそ、負けるもんか!

で乗り越えるんや、が

父のいつもの口癖でありました


そんな強い精神力を持った

人ばかりやないよ、と

わたしは心で苦く呟いておりました



けれど、お父さん

やっぱりわたしはあなたの娘

反発すら覚えていた言葉を無意識に


なにくそ、負けるもんか!

わたしはお父さんの娘や

こんなことで負けてたまるかっちゃ!



この身体に流れる”血”ですかねぇ

父の負けん気、父の矜恃きょうじ

わたしの中の激しさ密かに燃え続ける炎


悔しいけれど認めます

やっぱり不器用にしか生きられないわたしは

お父さん、あなたによく似た娘です


負けてたまるかっちゃ!


痩せ我慢しながらでも自分を鼓舞するために

こぶしを握ってわたしは顔を上げて呟くのです


負けてたまるかっちゃ!


わたしは父の娘、です

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る