いつかきっと

かけっこは昔から遅かった

一周遅れとかで走るのは

どうにも物悲しくて

だから尚更、

走るのが苦手になったのかもしれない



歩くのが好きだった

行先も決めずに景色を見ながら

のんびり歩いていると

何処までも行けそうな気がした

あの心躍るような感覚


かけっこじゃなきゃ

ひとり気ままになら

風を切って走るのは嫌いじゃない

山の家から階段を駆け下りる時

わたしの背中には確かに羽があったんだ



何処までも往けるものなら

今だって往けるものなら


背中の羽は、とうに朽ち果てたけど


ゆっくりゆっくりでもいい

いつか、あの場所へ往こう


きっと


いつかきっと。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る