遠い夏

夏は苦手ではあるけれど

それでも夏はもっと

ワクワクしたものだったのにな


窓の外は雲ひとつない青空で

蝉の声はうるさいほどに耳に響いて

吊るした風鈴が思い出したように鳴る


夏は何も変わっていないはずなのに

あの頃、季節の中にいたわたしは

今は、季節そこから弾かれて

外側から夏という季節をみている

わたしの夏はもう

あの遠い日々の中にしかない


青空も蝉の声も風鈴も

まるで、夏という舞台の書割かきわりのようで

なぜだか、よそよそしくて




ぼんやり頬杖をついていると

麦茶のコップに入れた氷が溶けて

カロン、と音がした



もうすぐ午後三時

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