喪失

失う時は

あっけないほど簡単で

其処に見えたはずの

真実と言われるものの

なんという頼りなさ


なぁ今更、何を恐れる

わたしなんぞが飾り立てても

そんな鍍金めっきは、すぐに剥げる

それくらいは今までで

学んできたはずだったろう?


失くすものなどないじゃないかと

思って生きてきたはずだけど

潔くなどなりきれず

慣れることなどないのだと

また繰り返し思い知る


傷つきはするさ

何度繰り返しても

愚かなことよと

嘲笑わらわれようとも


ぽっかり空いた喪失の跡

ずっと埋まりはしない

ましてや

それに慣れることなど


それでも


わたしはわたしでしかいられない


こんなものかと失望されれば


こうべを垂れて

見送ることしかできなくて


喪失の痛みとともに

ただ

立ち尽くしながら


それでも


わたしはわたしでしかないのだ

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