【クレーム】 - 制度<各種手当>

私が常駐している某会社では、社員への各種手当が充実している。

手当には大きく分けて以下の2種類がある。

①自動的に支給されるもの

②各自の申請があって始めて支給されるもの


なんだろう、まるで後輩に仕事を教えるための手順書を作成している気分だ。

さておき。

年がら年中トラブルが多発するのは、②の手当だ。

国や地方自治体から支給される各種手当や補助金も同様だと思うが、それらには必ず【申請期限】というものがある。

何かとんでもない大災害や、本当にやむを得ない事情でもない限り、【申請期限】を守っていない申請については却下されるのが世の常だ。

これはもはや、常識、と表しても差し支えないものと思う。

(個人的に「常識」なんてものは、人それぞれだと思っているため、あまり好きな言葉ではないが)

ところが、だ。

私が常駐している某会社-ええい、めんどくさい。常駐先会社だから「J会社」とでもしよう-の社員には、私から言わせれば「常識から外れている」人が、結構在籍しているように思う。

まぁ、分母が大きいので、割合的には少ないのかもしれないが。


『だって、子供が生まれたと電話した時に、そんな事一言も教えてくれなかったじゃないですか!』

今日も今日とて、手当絡みのクレーム電話が入ってしまった。

本人曰く、かなり前から要件を満たしてはいたものの、会社から手当を支給される対象だとの認識がなく、今までずっと申請をしていなかったとのこと。

今から申請をするのだが、遡って支給はされないのか?

と聞かれたため、遡及支給はいたしかねます、と答えたところ、ブチ切れてきたのだ。

おまけにこの方、当時誰と話したかもよく覚えていないとのことで、こちらとしても対処のしようが無い状況。

J会社の方針としては、【規則は開示してある。社員自ら規則を確認し、要件に当てはまる場合は速やかに申請を行うこと。申請遅れの場合の遡及支給は行わない。】となっている。

子供が生まれたからと言って、


 ●●はどうされますか?

 その場合は△△です。この申請が必要になるので、××までに必ず申請してください。

 ○○はもうお済みですか?

 ◇◇の場合は不要ですが、◆◆の場合は手当が支給されますので、××までに申請してください。××までに申請が無い場合、遡及の支給は行いませんのでご注意ください


なんて、懇切丁寧なことをする運用にはなっていないのだ。

(個人的には、少し不親切ではないか?と思う事は多々あるが)

だいたい、結構な人数がいる会社の多岐にわたる業務を、我ら数人で行っているのだ。

一人一人にそんな丁寧な対応など、できる訳がない。

だが。


それが、あんたが所属している会社の方針なんだよっ!


とは、やはりどうしても、口が裂けても言えない。

下請け会社社員の、悲しい性哉。


「大変申し訳ございませんが、お子様の手当につきましては、社員ご自身にて確認のうえご申請いただく運用となっております。本日ご申請いただきましても、遡っての支給は致しかねます。ご納得いただけないようでしたら、規則を担当する部署の者にお電話をお繋ぎいたしますが・・・・」


今回はこれで対応完了。

J会社では、人事部の中でも規則を担当している部署が一番近寄り難いらしい。

エリート中のエリートが集まる、との噂を聞いた事もある。

困った時の、「規則を担当する部署」様だ。

この名称を出すと、大抵の社員は引き下がってくれる。

万一引き下がらなくても、本当に電話を回してしまえば良い。

何故なら。


私は他社の社員であって、正直なところ、J会社の規則など知ったこっちゃない。

規則と運用に関するクレームは、己の会社で対応すべし。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る