第3話使い魔と少女・II
メアリーと共に歩き、茂みをかき分ける。
日は暮れて夜となり、周りがよく見えない。
僕はサイドバックから取り出した小さな杖で魔法を唱える。
「フォントン・ライト」
「眩し!? ルイスの顔も綺麗に見えるわ」
「光の呪文だからね、これで歩ける」
「それにしても、ルイス。私を封じた二年間で色々マスターしたね」
片手サイズの小さな杖は、ある人から貰った物だ。もちろん"魔法"の扱い方も教えてくれた人で、五年前に出会ったのが最後である。
「まぁね、"弱いって言われたくないから"ね」
「ルイスちゃん…」
皮肉にもメアリーを始めて出した時、人前だった。「悪魔使いだ!」など暴言を言われて、戦うにしてもティマ―しか知らなかったので村の友達ボコられて毎日の様に傷だらけ。
"悪魔的に弱い"や"お前みたいな奴は一生その姿を見せるな" など激しい暴言が飛び交う。
さすがにメンタル的にも、限度というのがあった。
そんなある日―――ブチ切れてしまったのだ、友達を殺しかけた。
悲鳴をあげて、逃げ回る"悪党"共を野放しにはできないって思い過ぎた。
村の大人でさえ抑えきれずについには、軍人が動く事態となり両親の必死の説得により捕まることは無かった。
その反面、友達から見放されて「人殺し」なんて言われるようになり。ついにはひとりぼっちになり部屋にこもりただただ勉学を学んでいた。
――それが"ルイス"という少年の過去である。
メアリーのわざとらしい言い方を僕はつっこむ、それが"友達"という関係だと思う。
「ルイスちゃんとはなんだよ!? 気持ち悪いなぁ」
「たまにはいいでしょ?! いつもゴミかクズしか呼ばれてなかったんだから!」
「人の傷口を開かないでもらえる?」
とか楽しく話して、ある場所にたどり着く。
どっかのテント、誰かが住んでいるのに違いはない。
焚き火の跡が何よりも証拠、まだ生暖かな温もりがある炭が地面にある。
「ルイスここは?」
「エルフが陣営する拠点だよ」
「え、エルフ…?」
「うん、僕の魔法はエルフから教わったんだ」
「エルフは、エロい変態長生き…ルイスの体がかもう既に…はうっ」
「メアリー、そんなことされてないから」
「ブー、つまんないくそ真面目!!」
「馬鹿でアホはメアリーだろ」
「うぐっ! いつかギャフンと言わせてやる!色々と」
「下ネタがダダ漏れ仕掛けてるぞ」
騒がしさに、エルフの一人が姿を現す。
魔族と人間の奇妙な関係に、瞬きを何回かした。
「だから! 私はルイスの生気で生きてんの!ご飯は食べても満たされない!」
「メアリー、変態とは…大胆がいいとは言うが…生気? いつ吸ってたんだよ!!?(迫真)」
「顔近いわ、私が変なスイッチ入る前に避けなければその股を蹴飛ばすわ!」
「なんでだよ!? 」
妙な会話のせいで、エルフは出れない。
仕方が無いと思い、ある方を呼びに行く。
僕とメアリーがぎゃあぎゃあ、騒いでいると金髪のポニーテール騎士姿、エルフ少女が姿を現す。
「君達なにを―――って、あれルイスじゃん!?」
「フォルスさん、やっぱり居たんだね」
「久しぶり! 元気にしてたか?」
「おかげで様で」
「そうかそうか、ルイス大きくなったな。私が知る子供な感じじゃないわね」
「そりゃそうだよ、アレから二年前だよ?」
「二年でもなかなかの成長だ、さてと…そちらの魔族は?」
「メアリー、僕の使い魔」
「ちょっとルイスくん、何言ってるか分からない」
「え?」
エルフ騎士が、フォルスの後に集まる。
軽く咳払いをして、こういった。
「た、立ち話もあれだ。陣営に案内する」
「フォルス様、今の事態で客招きは!」
「私の友だ。なに、悪さなんてしないしあの魔族はルイスから離れられないみたいだしね」
「り、了解しました。直ちに手配します!」
「さて、歓迎するぞルイスとメアリー。エルフ騎士第一騎士団の団長フォルス、貴殿らとの再会を祝しよう」
テントの中に入る、灯りは魔法の火で付けられた"たいまつ" テントには火が燃え移らない。赤い絨毯の上に木製のテーブル、エルフ達は何やら会議していた。
フォルスは、呆れた顔で声を発した。
「なんだ? 会議は終わったはずだが?」
「フォルス様!?」
「なんだ?」
「フォルス様、実は―――」
エルフ兵士達はフォルスの耳にコソコソと何かを話すと、驚いた表情で「なにっ!?」っと発してしまう。
僕とメアリーはその声に驚いた、エルフ兵士はフォルスに訊ねる。
「どうしますか?」
フォルスは難しそうな表情で答える。
「人界がすぐそこ、ダークエルフが進軍して迎え撃つにしろ…。民と人界を守るのはキツいだろうな」
メアリーと僕は互いに顔を見合せた、はなしの内容的にはある程度把握している。
エルフとダークエルフは、対立していて勢力を強めている。
ダークエルフをエルフは対抗、これはかなり前から繰り返されている。
そもそも、この世界は精霊の加護で七つの地域がある。
エルフとダークエルフ領域は全く同じ、争う理由がないのに"争い"を辞めないでいる。
そして今や、ダークエルフの勢力が増して人界…つまり僕達が住む街まで進軍している。
なら、答えが決まったかな。
「ねぇ、僕が戦おうか?」
「ルイス?! 無茶だ、君もわかるだろう? 君の父上は―――」
「知ってる!」
「ルイス…」
「だからこそ、僕がやらないと…!」
フォルスは考えた、目をつぶりこういった。
「ルイス、戦場は甘くない。それはわかるよね?」
「うん」
「その覚悟、私は感謝するわ。ミール」
どっからともなく現れた少女は、床に膝まづいていた。
「はっ!」
「この子に剣を、少女には弓を与えなさい」
「かしこまりました!」
少女は再び姿を消した、フォルスはにこやかな笑みを浮かべて言った。
「明日の朝、それまでは自由時間だが…しばらく話しでもしようかルイス」
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