第8話 暗黒の高校時代へ
私は家から歩いて20分くらいの府立高校に通うことになりました。
春休みの終わり頃、母と、高校の入学式だったか説明会だったかに行きました。一緒に隣の隣のフジやんとそのお母さんも行きました。
帰りに別の友達親子とも一緒になりました。息子3人が前を歩き、ちょっと離れて親3人が歩いていました。私の前にフジやんともう一人の友達が歩き、二人で何やらしゃべっていました。私はその会話に入っていけず、二人の後ろをトボトボと歩いていました。
家に帰ってから母が明らかに不機嫌な顔で言いました。
「お前いつもあんなんなんか(あんな風なのか)?」
母は恥ずかしかったらしい。自分の子供だけ友達との話に入っていけずに後ろをトボトボと歩いてる姿が、他の母親の手前、恥ずかしかったらしい。
もっともではあります。私だって恥ずかしいのです。恥ずかしいけど、そうなってしまうんです。幼少の頃から事あるごとに恥ずかしい人間で、本当に申し訳ないとしか言えない。
春休みが終わり、暗黒の高校生活が始まりました。
F田とフジやんも同じ高校だったけど、クラスは違ってました。
同じ中学からかなりの人数が行ってたので、その点では少し気が楽でした。しかし知り合いが大勢いるとはいえ、そもそもその知り合いともそんなに仲が良かったわけではないので、その点で気が重かった。
高校には馴染めませんでした。
当然ながら知らない人間も大勢いるので、いくばくか恐怖をおぼえました。私はますます殻に閉じこもりました。
みんな俺を変な目で見てることだろう。
顔面がこわばった。
口元が引きつって、変な顔になってるような気がした。
意識するともっとひどく引きつってくる。
身動きがとれなかった。
自分の歩き方もおかしいような気がした。
休み時間もほとんど自分の席から立たず、机に突っ伏してた。
もう誰にも心は開けませんでした。誰かと仲良くなりたいとも思わなかった。
何人かの人は私に話しかけてくることもありました。一応少しばかりの会話はしましたが、あまり深く関わらないようにしていました。どうせ自分なんかと付き合ったってつまらないだけだから。結局は傷つくだけだから。当然、誰かと一緒に遊ぶなんてことは全くありませんでした。
なんだか自分で殻に閉じこもってしまって、せっかく話しかけてくれた人たちには申し訳なく思っております。
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