獣人の世界
バブみ道日丿宮組
お題:トカゲのガール 制限時間:15分
獣人の世界
獣人が産まれてからというもののただの人間というのは劣等種と罵倒されるようになった。
「また反対運動ですね」
メイドが部屋の窓から外を見てつぶやく。
「純粋種が偉いって思考は俺にはわからないな」
俺にはウサギの血が流れてる。完璧な獣人とはいかないものの身体能力は人間の数倍高い。
「お屋敷の前で抗議されるのも困ったものです」
「追い払うことはできないのか?」
「難しいですね。一度散らしてもやってきますしーー」
と袖をめくった。
「力でどうにかしても評判を悪くするだけでしょうし」
なぜか残念そうにするメイドはさておき。
この屋敷の主である母は現在の獣人の長。ほとんど屋敷にいることがない。なので……ここで抗議活動されても本人へは決して届かない。
ニュースになることはあるかもしれないが反勢力がどうだからとされるだけだ。
「なら放って置くしかないだろ。耳が痛いのは我慢するが」
ウサギの能力で聴力はかなりの範囲を拾える。屋敷の入口という狭い範囲に密集されては音がそこに集中して途切れない。
「お食事にでもいたしますか?」
「そうだな。そうだ、連れてきた女の子はどうしてる?」
「まだ眠ってます。起こしますか?」
今すぐにでも行きそうだったので手で制する。
「環境の変化ってのは大事だ。起きたら服の採寸とかやってくれ」
今は俺のワイシャツで寝てるしな。
「わかりました。では、朝食の準備をしてまいります」
扉の前で一礼してメイドは部屋を出ていった。
「さてと……」
母が保護した少女の対処を決めないとな。
全く母には困ったもので、不自由な獣人を見つけると持ち帰ってくる。もちろん、拒否したものはそのまま放置するらしいが本当なのかはしらない。付き添いで世界を飛び回ってるメイド長ならなにか知ってるかはしらないが、帰ってもこない人物に話は聞けない。
今回保護したのはトカゲの血を引く少女。
身体能力的には人より怪我をしにくいのと、暑いところでも平常通り動けることが特徴だ。もっともこの屋敷で暮らしてもらう……おそらくメイドになるのであれば、あまり温度は関係ないだろう。
教育プランはいつもので……いけるか?
少々歳的には小学校に通うレベルだ。他のやり方はないだろうか?
「うーん……」
散々悩んだあげく、義妹にすることに決めたのはまた別の話。
獣人の世界 バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri
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