騎士は妖精少女の幸せを掴むため剣を取る

六月(ろくがつ)

騎士と聖女の旅立ち

エピローグ「騎士は聖女と出会う」

 砂漠を進む、砂混じりの風が鎧を打ち付ける。


 鎧の重みで砂に脚を取られるがそれもそのはず、頭から足元まで完全防備のフルプレートアーマーを装備しているからだ。


 砂漠に行くのなら普通、軽装の鎧などを装備するが僕にはそれができない。


 ここはフィーネス王国の辺境にある砂漠、なぜこんな所にいるのか、それは数日前のことだった。


 僕の仕える、いや、正確には仕えていたフィーネス王国の女王・ミーンの命令で砂漠に住む『聖女』を探しにやってきていたからだ。


 砂漠の洞窟に住み、魔法を宿した武器『聖剣』を彫金する、見目麗しい聖女がいると。


 フィーネス王国に伝わるおとぎ話。

 実際に存在するのかすら怪しい、そんな不確かな物を探すため遠路はるばるやってきたわけだが。


『聖女が見つかるまでは王都への帰還は許さない』と言われてしまった、つまる所、聖女を建前に、僕と言う脅威を王都から追放することに成功した。


 


 とは言え一応噂の洞窟に行ってみることにした。


 人もおらず、いるのは野生の怪物モンスターのみ、ここなら余生をゆっくり過ごせるかもしれない。


 なので洞窟内の環境の下見のため脚を運んだ。


 僕は呪いのせいで人里での暮らしは難しい、そうなると人のいない砂漠の洞窟は好都合。


 モンスター退治なら得意なので、その点は問題ない、暑さ寒さがないのなら新しい拠点にしてもいいかもしれない。


 そうこうしているうちに洞窟の入口が見える。


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