暗黒剣士の聖十字~聖騎士団に入団した俺の属性適正がまさかの闇。俺は団を追われ、国を追われて。だが魔王と呼ばれるようになっていた俺の力がないと騎士団が崩壊? 復活した邪神を倒せない? だがもう知らん~
岸本 雪兎
聖騎士の闇使い
────激しい
騎士達の怒号と魔物の
「絶対に魔物を都市へと入れるな!」
「邪神の封印を解かせるわけにはいかない……!」
「騎士の誇りを示せ!」
戦場でそれぞれの団の団長が団員を
ここは1000年前に邪神を封じ、その封印を守るために作られた聖堂都市の壁外。
その封印を破るために日夜襲いくる魔物の軍勢。
それらを退けるために都市の建設と共に結成された聖騎士団。
俺──リヒトは騎士団の総団長だったヴィルヘルム様に憧れてこの聖騎士団に入団した。
「喰らえ!」
「トドメです!」
「捉えた」
「
騎士達は魔物目掛けて
人は一部の例外を除いて火、水、風、土の4属性のどれかに適正を持ち、属性適正の鑑定の儀を
例外は適正の属性を持たない無適正者。
そして上位属性の適正者だけだった。
────そう、俺が現れるまでは。
その時、光の柱が戦場に立ち
基本4属性とは異なる、選ばれし者だけが使える上位属性『光』の
その光の力の前には強大な力を有するレッド・ドラゴンも一撃で倒れる。
「凄い! あのレッド・ドラゴンを一撃で!」
「さすがは総団長様!」
「さすがは選ばれし光属性の使い手!」
「聖堂都市を守護する騎士団最強の盾!」
他の騎士では10人がかりでも倒せるかどうかという巨大なドラゴンを一撃で
騎士達の
俺が憧れたヴィルヘルム様と同じ光の属性を操る騎士団のエースだ。
だがレッド・ドラゴンは1体だけではない。
俺が向かう先には防戦一方の騎士達の姿と巨大な影。
彼等が
その鋭い
それらをなんとか
俺は十字を描く巨大な剣──クレイモアを構えながらレッド・ドラゴンに向かって駆けていく。
「おっと」
混戦状態の戦場では時折味方の剣も襲ってくる。
俺は背後から振るわれた剣を
わりとよくある事。
だがそれにしても────
「いつもより剣を向けられ過ぎじゃないか?」
思わず呟いてしまう。
だって今のですでに13回目。
ちょっといくらなんでも多すぎる。
だが今はヴィルヘルム様が退団して初の大規模な襲撃による混戦。
それも仕方ないことか。
何より、剣を向けられる1番の理由が俺にあるのだ。
俺は隊列を組む騎士達を飛び越え、レッド・ドラゴンの前へと
俺の姿に背後の騎士達が一瞬息を飲んだのが伝わった。
無理もない。
深い闇をたなびかせて戦場を
「チッ、リヒトか」
「驚かせるな、魔物かと思ったぞ」
背後からそんな声が聞こえた。
俺は闇によって黒く染まったクレイモアを振りかぶった。
俺に与えられた属性、それは『闇』。
無適正者、上位属性適正者に
人間が操る事はできないと言われた6番目の属性を操る者。
その属性の性質のせいで俺は
だがそれにももう慣れた。
レッド・ドラゴンは鋭い瞳で俺を見下ろした。
その
鋭い風切りの音と共に迫る
だが俺はクレイモアを横に
黒い
続けざまに剣を縦に振り上げる。
「『
描かれた暗黒の十字。
十字を刻まれたレッド・ドラゴンの身体が頭から尾にかけて真っ二つに分かれた。
その身体が崩れ落ちる。
これが俺の対魔物の切り札。
最初の
そして奪った闇を込めた一撃で魔物を討つ俺の剣技。
憧れだったヴィルヘルム様の奥義『
「すげぇ、こっちも一撃だ」
「さすがは光と
「いつ見てもおぞましい」
背後の騎士達が言った。
そこに感謝や賛辞の言葉はない。
同じようにレッド・ドラゴンを倒したのに、その対応はリーンハルト様とは雲泥の差だ。
魔物でも見るような目で見られる。
魔物の軍勢は筆頭だったレッド・ドラゴン2体を討たれた事で勢いを失い、ついには撤退した。
激しい戦いだったが俺達騎士団からは死傷者を出すこともなく完全勝利となる。
だが勝利の
一体何の用だろうか。
リーンハルト様は名家の生まれで選ばれた光の属性適正者だ。
貴族の出でもなく、ましてや闇の属性を持つ俺をあまり
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます