アフターライフ
バブみ道日丿宮組
お題:昨日の光景 制限時間:15分
アフターライフ
昨日というのは、記憶の片隅にあるだけで『あった』という色は見えてこない。
それを事実として表現する装置がーーアフターライフ。
今じゃほとんどの人が利用してる装置で、記憶に思い出を形作る手助けをしてる。それは疑似体験をさせるようなシステムで、使用者は夢を見るように過去の出来事をみる。
自分が好きな過去を選択できるが、膨大なデータから普通の人は昨日なにがあったかを装置で思い出すかのように見るのが一般的。
僕はそんな装置を運用する施設の1人。
「ありがとうございました」
装置は一般の人には買えない。
国が管理する施設のみ利用ができる一品。それだけ記憶というのが大変デリケートなもので大事ということである。
裏の裏ではあることないことを見せる夢物語なんてものもあるらしいけど、本当なのかは定かじゃない。
確かに有名アイドルとデートしたり、犯罪にならない犯罪を犯したりと、好きな記憶が見れるのは面白いかもしれないが……記憶は記憶で、あったことはあったこと、ないことはないことだ。
へんな勘違いをしてしまっては生きるのが辛くなると思う。
「お客様のキャパシティだと……」
どうしてこんなにも未来より過去を大事にするようになったのか理由は知らない。僕が物心つくころには既にあったから。
次々と来客する人の流れは絶えない。毎日のようにくる人がほとんどだ。
みんな使うことが当たり前になって、装置を使わないという人はほとんどいない。
議会では学校施設に設置して勉学に利用するという案も出てるらしい。学校で学ぶことは勉強だけじゃないから僕としてはやはり今のまま専用の施設で見るというのがいいと思う。
だいたい子どもが夢の中で勉強を繰り返してみることを望むとは思えない。試験前ならありかもしれないけど、それだってやるのが嫌な子はいる。
「そのデータは深層心理に深く干渉するかもしれませんが大丈夫でしょうか?」
たまに深く過去を覗こうという人はいる。
そんな人は大抵現代にいい思い出がない人だ……と思う。
なんにしてもいろんな人がいろんな記憶を欲しがってる。
僕はといえば、死んでしまった猫との思い出をみるばかりで、学業は進んでない。
ほんとだったら、僕も勉強を振り返ったほうがいいのだろうけどね。
アフターライフ バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri
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