政府の考え

バブみ道日丿宮組

お題:来年の紳士 制限時間:15分

政府の考え

 自分の結婚相手と言われて紹介されたのは、8歳の少年だった。

 ちなみに僕は15歳。国が定める結婚できる年齢だ。

 はじめは少年がなにをいってるのかわからなかったけど、書面を持ってきたその手には政府の認定書が確かにあった。

 両親たちはそれを見たら、空気を読んだのかでかけてしまった。

 今は居間で少年と二人っきり。少年は僕が出したオレンジジュースとお菓子を頬張ってる。

 なんてことのない空気が流れてる。

 でも、それではダメなんだと僕は口を動かす。

「あなた、僕みたいなこが結婚相手でもいいの? なにもとりえがないし、身体つきだって男の子と間違われるくらいだよ」

「偉い人が決めたんならそうするしかないでしょ。パパもママもそうしてきたって聞いたよ。あと女の人は身体が全てじゃないって」

 少年の目に偽りの色は見えなかった。

 覚悟ができてないのは僕だけだと思うと少し恥ずかしい。

 というか少年の親は何をこのこに教えてるのだろうか……まぁ、送付されてきた写真をみてきっとそう思ったんだろう。

 気にしてないといえば嘘になるけど、ちょっとひどくないかな。いや……まぁどんなに否定しても成長しないのは成長しないからどうしようもない。

「……小学生だよね?」

「そうだよ、〇〇小学校に通ってる」

「僕もそこの学校通ってたよ」

 懐かしい。

 そこらへんも考慮して政府が決めたのかな。

「学校楽しい?」

「うん、楽しいよ」

 そっかと笑う私は政府について考え始める。

 この世を制御してる存在で、仕事先、結婚相手、学校、病気に至るまでを仕切ってる。病気を自然発生させず人工的に起こすのは、医療の発展とパンデミックを起こさないためだと言われてる。

 僕としては次の日熱がでるという認定書がきて、実際にされるのはあまり好きじゃない。苦い薬じゃなければいいのだけど……。

「いつから僕と一緒に暮らすの?」

「中学生になってからだって。そこから一緒に暮らしてお互いのことをよく観察しなさいって」

 なるほど。

 少なくともあと3年……僕に自由が許されるのか。

「じゃぁ仲良くしようね」

「うん」

 少年の笑い顔は年齢相応で可愛かった。

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政府の考え バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri

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