第7話
千咲 side
「っで?優里の中でお兄ちゃんはどうなの?」
お昼休憩で優里を問い詰める。
「え?"どう"って……やっぱ『千咲のお兄さん』ってのが私の中では大きいかなぁ?あ、でも……さっきも言ったように『千咲が私のこと紹介しようとしてくれてたのは嬉しかった。』よ?蓮さん、良い人だもんね。」
「ふーん……なら、良いけど?やっぱさー、お兄ちゃんとお付き合いするのは優里が良いかなぁ?」
そう言うと、優里は照れている。
「ふふふっ、それはまぁ……蓮さんの意思もあるからねぇ。それ次第じゃない?」
「わかった!今日お兄ちゃんのトコ行く。っで、優里のこと……どう思ってるか聞いてくる!優里、今日は何か用事ある?」
「え?な、ないけど……ホントに聞きに行くの?」
「うん!ほら、来月バレンタインでしょ?そのまえに聞いておきたいのよ。」
「あ、そうね。じゃあ、一応お願い。」
「うん、じゃあ……今日一緒に帰ろうね。」
「ふふふっ、うん。わかったわ。」
そう言って、午後の勤務に移った。
悠真 side
終業後、
「四宮さん、今日も良いですか?」
「ああ、俺も悠真に聞いておかなきゃいけないことあったんだ。」
「え?そうなんすね。じゃあ、一緒に帰りましょう。」
今日も四宮さんと帰ることにした。
「ふっ、今日はまっすぐ帰っていいのか?」
「あ、はい。実は昨日千紘のヤツ、晩メシ作ってくれてたんです。」
「あー、そうなんだな。じゃあ、まっすぐ帰るか。昨日のことは俺も責任あるしな。」
「ふっ、そんなこと気にしなくて良いですって。あ、"聞いておかなきゃいけないこと"ってなんすか?」
「や、あの……"結婚"に至った顛末を聞いてないなぁと思ってさ。」
「"顛末"……あー、『千紘、結婚しない?』ってストレートに言ったら、『さっきのがプロポーズじゃ嫌だなぁ。』『もう少しロマンチックなのが良いかなぁ?』って"やり直し"を申請されたんです。」
「ふっ、"ロマンチック"ってなんだろうな?」
「ですよね。ディズニーランドのシンデレラ城前とか、ですかね?まぁ、勝算ないとめっちゃ恥ずかしいですけどね(笑)」
「まぁ、人によって"日常生活で"ってのもあるし、それよりは"ロマンチック"ってお題が出てるぶん、良いけどな。」
「まぁ、そうなんですけどね、"ロマンチック"も意外と難しいっす。ヘリ貸し切るとかは俺には無理だしなぁ。高級ホテル、予約するとか……何の脈絡もないし、意味不明です(笑)」
「だよなぁ。やっぱ"シンデレラ城"?」
「うーん……それはやっぱ恥ずかしいっすね。……あ、千紘、誕生日近いんで、当日に一緒に晩メシ食べ行って、ケーキ予約しときます。っで、プレートに『MarryMe』って書いてもらいます!」
「わっ、それ……良いな。俺ももらおう!」
「え?四宮さん、相手居ないのに……ですか?(笑)」
「あ、相手ありきだったな(笑)」
「良いんじゃないっすか?三島さん。」
「え?彼女にも意思ってモンがあるからな(笑)」
「ですよねぇ。あ、じゃあ……俺、ココなんで。」
「あ、そうだったな。じゃあ、気ぃつけて帰れよ。」
四宮さんにそう言われて、そこで別れた。
優里 side
「千咲、一緒に帰ろう?」
「優里、うん。帰ろう?」
千咲を誘って、2人で帰った。
「千咲、私たちが仲良くなった理由覚えてる?」
「あ、うん。名字が"四宮"と"三島"で"漢数字繋がり"だったよね?」
「うん。ふふふっ、今日蓮さんに名前聞いてさ、『千咲もそうだったなぁ。』って思ったの。」
「へぇ、そうなんだね。優里、"三島"から"四宮"に変わる気ない?」
「え?それは蓮さんの意思次第だからね。」
「わかった!お兄ちゃんに聞いとく。」
千咲とそう話していると
「アレ?三島……優里さん?」
と声を掛けられた。この声は……
「千紘っ、電車の中で会うなんて初めてだね。」
千紘だった。
「うん、座る場所探して、この車両に来たら、聞いたことある声がして……あ、隣良いですか?」
千紘は千咲の横の席を指差して聞いた。
「あ、はい。どうぞ。」
千咲が勧めると
「ありがとうございます。」
そう言って、千紘は座った。
「あ!千咲、彼女が私と同じマンションに住んでる"同棲カップル"の女性。千紘、彼女が中村さんのことを可愛がっている先輩の妹。」
そう言うと
「「あ、あなたが!」」
と2人とも言った。
「優里から聞いてます。千紘さんたち、『付き合ってもう長いし、そのうち"結婚"とかするんじゃないの?』って。」
「あ、はい。あー、優里さんに言うの忘れてた。昨日彼からプロポーズされて、私たち……結婚することになったんです。」
そう言って、千紘は嬉しそう。
「えーっ、そうなの?千紘、おめでとう。」
「千紘さん、おめでとうございます。」
「ふふふっ、まぁ……プロポーズはやり直しの申請したんですけどね(笑)」
「え?やり直し?」
そう聞くと
「ふふふっ、はい。だって、昨日、彼、ベロベロに酔っぱらって、帰ってきたんですよ?それで言われてもねぇ。」
と千紘は答えた。
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