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「……なんだと?」怪訝そうに、リーダー格が言う。


「今、国内の某所にあるνキャノン二号砲が、この部屋のあんたたちに狙いをつけている。それが発射されれば、あんたたちは中性子シャワーに晒されて即死だよ。軍事関係者なら中性子爆弾って知ってるだろ? その直撃を受けるようなものだ」


 そう。


 νキャノンの「もう一つの用途」というのが、まさにこれだった。


 これは強力な対人兵器になるのだ。しかもどこに隠れても防ぎようがない。地球の裏側からでも使えるスナイパーライフルだ。


「は……ハッタリだ! そんなことができるはずがない!」リーダー格が叫ぶ。


 しかし、実のところこれは全くハッタリではない。兵庫県にある理研のSpring-8に併設されたνキャノン二号砲が、こちらから送られている映像を頼りに虎視眈々と奴らに狙いをつけていた。


「そう言うんなら、今から試してみてもいいんだぜ。それが事実だと分かった時には、あんたたちはあの世に行ってるけどな」


 俺はニヤリとする。


「……」リーダー格が悔し気にうなだれた、その瞬間だった。


「!」


 いきなり彼らが俺たちに向けて走り出したかと思うと、銃を突きつけながら一対一で俺たちに体を密着させる。


「こうしておけば、仮にお前らの話が真実だとしても、お前らも巻き添えになるからニュートリノ砲は撃てないな」


 覆面で分からないが、声の調子から、俺を捕まえているリーダー格が笑っているであろうことがうかがえた。


 しかし。


 これこそ、俺たちが待ちに待った瞬間だった。


 俺は長岡と西島にアイコンタクトを送る。


 一瞬後。


 リーダー格の顔面に、俺の渾身の右ヒジが直撃する。


「ぐわっ!」


 奴の悲鳴にも構わず、振り返りざまに俺は右アッパーを奴の顎に叩き込む。クリーンヒット! そのまま奴は床の上に崩れ落ちる。


 周りを見ると、長岡のローキックからの回し蹴りのコンビネーションが相手の顔面に炸裂。西島は背負い投げで相手を床に叩きつけていた。


「単なる頭でっかちの研究者だと思ったら大間違いだ。俺たちはみな現職の自衛官。戦いの素人じゃねえんだぜ」


 失神している連中には聞こえていないだろうが、俺はそう言っておいた。


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