神隠し＊狐の少女

第1話:紅葉袴の少女

私の住む地域には、《神隠し神社》がある。

神様の使いの狐の化けた、少女が竹ぼうきで

いつも掃除しているらしい。

お参りする人に、「ようこそ」と挨拶していた。そして何故か、紅葉色の袴を着ていたのだ。

私は、学校の委員会活動の美化で、神隠し神社の境内に向かった。親友のゆうたと5円玉を手に握って、少女を探した。

「どうしました？何かありましたら教えてくださいません？」

私達は、少女に頼んだ。

「境内を掃除しても良いですか？

あと、あなたの名前は？」

「教えてください」

少女はほっと息を吐くと、こう言った。

「良いですよ。私は紅葉と言います。お賽銭は要りませんよ。あと、迷ってしまうでしょう。私が案内しましょう」

紅葉は、少し赤みのかかった黒目でじっと私達を見た。私とゆうたはうなづいた。