第13話


 公社の受付でまずはキッドの情報を聞いた。受付は書類仕事をしながら面倒そうにレオンの質問に答えた。キッドは二週間ほど前にやって来て、もっぱら下層地区のまずまず難度の高い、毎週負傷者や死者が出ている迷宮に潜っているらしい。本人が表明していた通りDが一つのKID若造と呼ばれるのを忌み嫌っていたが、何故かそれと同じく「エレノア」と呼ばれることも嫌悪しているらしかった。


 肉塊を潰すのと同じくらいの難度の迷宮はいくつかあるが、レオンは骨拾いを選んだ。それはなぜか知らないが酢に塗れた獣骨が発生する石造りの通路で、骨自体に酸っぱい臭い以外には害はないのだがこれを食べに野犬が時折やって来るという話だった。そいつらはやせ細っておりそこまで脅威的ではないが、噛まれると病気になったり傷が化膿したりというリスクは当然ある。犬が現れたら骨を投げて、それを齧っている隙に即時撤退せよとのことだった。


 この骨が何に使われるのかは不明だ。内部にごく小さな魔石が眠っているのだろうか。あるいは薬にでもするのか。まさか誰かが犬みたいに齧るわけでもないだろうし。いずれにしても小銭がもらえるならどうでもよいことだった。

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