第7話

 少なくともイーグロン大陸にある六王国の大都市はだいたいそうらしいが、リニィもまたひどくごちゃごちゃした街並みだった。迷宮化によって定期的に建物の位置もその構造も組み替えられてしまうからだ。ときには一から新しい建物が出現することもあるし、過去には一区画まるごとが消えたり現れたりしたこともあるそうだ。片田舎に住んでいたレオンからすれば、設計図なんてのが存在しないような迷路じみた街は戸惑いのもとだったが、一週間もいればどうってことはなくなってきた。


 治安はというと、あまり良くはなさそうだった。襲われるだけの金はもっていないことを誰もが知っているからか、レオン自身が追いはぎに合うことはなかったが、たまに下宿屋や公社から少し離れると、襲われたばかりの素っ裸な被害者がぶっ倒れていることがあった。それでも命までは奪われることはないようだった。まだしばらくは気にしなくてもいいが、金が貯まってきたら銀行に預けるべきだろう。下宿の部屋は鍵はかかるものの、ドアも壁も窓もたやすく破れそうだし、隣室の住人達も大して信用できる感じではなかった。

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