何兆分の一

 「よろしくお願いします」

僕の目の前に僕が立っている。これは大変な事である。


自分と同じ強さの「僕」という存在。

同じ地球に同じデータが二つ。絶対に有ってはならない事だ。

お互いは違う世界で違う経験を積む。


僕が生き残る確率は50%、どちらか片方は消滅する。


「相手の能力を奪う事しかできない、

ただの素人だ。そんなお前に何ができる?」


僕とぼくが向かい合った日、過去と現在が交わる。

選んだのは僕だろう。選んだのがぼくだろう。


この程度か。ここで逃げてしまうのか。

僕が存在する確率は、何兆分の一?

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