見知らぬ君

 とある夏の日、私は思った。

「別の世界の自分が会いに来ている」。


 気のせいだろうか。幻だろうか。

 姿の見えない彼女がそこに居る。


「逢ってみたいなあ。」

「君に、逢いにゆく」


 風が吹いた。君がそばに居ること、知ってるよ。

 8月32日、水曜日。


「空気に色をつけたら、こんな感じかな?」


 顔も知らない君に問いかけた。

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