胡雛有心
合澤臣
序
暗い石の
「すまん」
「いや、私も気を逸らしていた」
籠を抱えた女は
「
小さな花は開く直前のものでかぐわしい芳香を放っている。集められたのはどれも同じものばかりだった。
「茶を
誰に、とは
「また加減が良くないのか。
「しばらくは安静にと。良い香りであれば
そうか、と立ち上がった。「
言うと不満げにきりりとした眉を
「たまには見舞ってやってほしい」
「そうしたいところだが、帰って来たばかりで
相手はそれでも不機嫌な相好を崩さない。高竺は美女の怒り顔に困って頭を掻いた。
「分かっているだろう高竺。当主のお加減も良くない。
彼らが仕える当主の
「すまん、
丞必は具合の優れぬ主の
「……仕方ない。では
「それならお安い御用だ」
頼んだぞ、という言葉に手を振って別れる。
遠征から帰還したばかりで高竺も疲れていないとは言えなかったが、仮にも城で良い待遇を与えられ身を粉にして尽くすと誓った手前、たとえ
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