第66話隠し部屋
リナ達が部屋を出ていくと、団長とルーカスはバーンズの屋敷の隠し部屋へと足を踏み入れた…
「んっ!んんー!」
バーンズが入るなと言うように叫んでいるが相手にすることなくなかを改める。
そして、その光景に顔を顰めた…
そこには奴隷と思われる子供の生まれたままの姿の写真や拷問に使われると思われる器具などが飾ざられていた。
「なんて、不快な部屋だ…」
団長がボソッとつぶやくと、写真を裏返しにした。
「これ…子供の写真ばかりです…みんな撮られてるのに気がついてないような…」
視線の合わない写真に違和感を覚えた。
「この…鏡の後ろから撮っていた様ですね…」
ルーカスの声にみんなが振り替える、鏡があった場所を見ると向こうの部屋が丸見えになっていた。
「ここに子供を連れてきて着替えさせて見てたのか…」
「まさか…アリスも!?」
ルーカスはバーンズの元に戻ると猿ぐつわを乱暴に取って胸ぐらを掴んだ。
「お前…アリスの着替えもあの裏から見たのか!?」
「ぐっ…ぐるじい…」
ルーカスに持ち上げられて首を吊るような格好にバーンズは顔をみるみると青くなる。
「ルーカス落ち着け、そのままだと死ぬぞ」
団長の言葉にルーカスは少し下ろすがその手を緩める気は無かった。
グッと肩を掴んで思いっきり握りしめるとゴキッと骨が折れる音がした。
「ぎゃあー!」
激痛にバーンズの叫び声が部屋に広がる。
すると騎士の一人がそっと扉を閉じた…
「ルーカス…話を聞くならその部屋がいいんじゃないか?どうもその中は音を通さないようになってるみたいだ…」
「そうだな…」
ルーカスは暴れるバーンズをつかみ秘密の部屋へと引きずっていく。
「さぁ言え…アリスに何をした…」
反対側の肩を掴んで徐々に力を込めていくと…
「な、何もしてない!み、見ようとしたのにアリスは何かを感じとったのか…鏡の死角に行ったんだ…まだいつでも見れると思って…」
「こいつ…!団長、すみません…俺はもう騎士をクビになってもいいです!ですからこいつを一発だけ…一発だけ殴らせて下さい!」
「ルーカス…そうだなぁ…ちょっと俺は外の様子を見てくる。いいか、そいつはよく暴れるからな#もし暴れたら殴ってでも大人しくさせておけ__・__#…」
「はい…ありがとう、ございます」
ルーカスは団長に頭を下げると、団長は笑って部屋を出ていく。
「さてと、俺はこっちを調べてくるな!」
「じゃあ俺はあっちを…ルーカスそいつは頼むぞ」
仲間の騎士達はルーカス達に背を向けると部屋の中を確認するフリをしだした。
「おまえら…ありがとう」
ルーカスは仲間達に感謝すると…バーンズを睨みつける。
「ふ、ふざけるな!こんな私情で拳をふるっていいのか!騎士としての誇りはないのか!」
「俺は騎士である前にアリスの親なんだ…娘があんな思いをして何もしないでいられるか!」
「や、やってみろ!俺は全て 話してやる!」
「勝手にしろ」
ルーカスはバーンズを左手で持ち上げると右手をギュッと握りしめて力を込める。
「や、やめろ…」
「娘に手を出したこと…後悔するんだな…」
ルーカスは渾身の力でバーンズの顔面に拳を突き立てた!
「ぶっぐふっ!」
バーンズは拳が顔にめり込むと…鼻や口が潰れて血が吹き出す…そして気を失いダラんと力が抜けた。
ルーカスはそのまま手を離すとバーンズは壊れた人形のように床に倒れ込む。
「ん?なんの音だ?」
「なんか暴れる音がしたな!」
騎士達がわざとらしく近づくとバーンズの様子を確認する。
「ああ、暴れたから大人しくしてくれたんだな、よくやったルーカス」
「ああ、こいつを逃がしたとあったらまた子供が犠牲になっていた、これは表彰もんだな!」
二人はバーンズを持ち上げるとその手と口を拘束しようとするが…
「おっと…これは口を塞ぐ必要は無さそうだな…」
クスクスと笑いながらその顔を見せる。
バーンズの顔は元の原型がほとんどなく歯がほとんど折れていて隙間からヒューヒューと空気が漏れる音がしていた。
「こりゃ喋れそうにないな!」
笑う騎士達に比べてルーカスの表情は悔しそうに歪む。
「こんなもんじゃアリスの気持ちは救われないかもしれないが…」
「それはこれからお前がリナちゃんとケアしてやれ!」
「そうだな、それが出来るのは親のお前だけだと思うぞ」
「本当にこの騎士団に入れてお前達と同僚で俺は幸せだ」
「急に恥ずかしい事言うなよ!」
「は、早く団長のところに行こうぜ」
恥ずかしがる二人に頭を下げるとバーンズの汚い顔を隠すように布を被せてルーカス達は団長と合流する事にした。
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